NPO法人再生医療推進センター

コラム 鵜の目鷹の目


No.007 「AIとディープラーニングと脳」(5)脳神経の信号伝達

バトンタッチ AIは電流で信号を伝えでいるのでしょう?脳神経細胞も電流でシグナルを送っています。と言っても、脳はコンセントに繋がっていませんし、“自家発電”もしていません。イオン(荷電粒子)が神経細胞の中に出たり入ったりすることで、電荷の移動=つまり信号を伝えています。ここで活躍するのがナトリウム、カリウム、カルシウムと言ったお馴染みの物質。でも出っ放しだと無くなっちゃって「持続不能」ですから、また戻してリサイクルする仕組みがあります。常に適量で維持されることが大切ですね。恒常性と言って「生命」の特徴の一つでしょう。少し脱線しますが、カルシウムは骨にだけ使われているのではありません。「過ぎたるは及ばざることが如し」適量がベストですよ。

神経の腕(軸索)でイオンの出入りをしているのですが、これはある間隔をもって行われています。例えるなら、走り幅跳びの様。軸索には髄鞘と呼ばれる“保護膜”があるのですがこの部分ではイオンの出入りは起こりません。前回「再生を阻止」している候補として書きましたオリゴデンドログリアが絨毯の様に広がって軸索をぐるぐる巻きにしています。これは、信号伝達の効率を飛躍的に高めます。走り幅跳びの様と書きましたが、正しくは跳躍伝導と呼ばれています。

後に詳しく紹介しますが、この髄鞘が壊れる病気があります。そうすると跳躍伝導ができなくなるので信号の伝達は随分遅くなりますね。

一方、元々髄鞘を持っていない軸索もあります。髄鞘をもっている神経細胞を有髄神経、持っていない神経を無髄神経と呼んでいます。使い分けているのですね。

神経細胞が伝えているのは電気的信号だけではありません。細胞体は言うに及ばず、その腕である軸索も基幹道路の様に多くの情報を届け続けています。しかも、実は「両方向に」です。

神経細胞の神秘はとても深いものです。AIも「脳」から学んで発達しているそうですけれど、その脳は不思議の海です。AIが脳を「追い越す」時は来るのかも知れませんが、「理解」するのはまだまだ先になることでしょう。「脳が脳を理解できるか」哲学的命題の様ですが、まずは仕組みを一つずつ考えていきましょう。脳の病気には未だ原因不明で治療も難しい難病が幾つもあります。再生医療への期待も高まるばかりです。

次回は、第一ランナーから第二ランナーへのバトンタッチの様子を見てみます。

(Neuron)

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