設立趣旨
1.ご挨拶と設立に至る背景

再生医療推進センターが、いよいよNPO法人としての本格的な活動を開始する事になりました。NPO(Non Profit Organization;特定非営利活動法人組織)法人の基本的理念は、ボランティアー精神を持って社会に貢献するところにあります。本法人はNPO法人の基本的理念を踏まえながら、再生医療の進歩及びその実用化に寄与するための活動を行う事を目的とします。主な事業活動は、情報発信基地としての正しい知識の啓発や、情報の提供活動、臨床応用支援に向けての活動、及び、再生医療普及のための活動です。

再生医療は、21世紀のポストゲノムにおいて、中心的な役割を担う医療になるものと大きな期待が寄せられています。ゲノムで大きく立ち遅れたわが国においても、この分野では世界に通用する治療法の開発やその実用化もまだ十分に可能です。再生医療開発技術を含むバイオテクノロジーの急速な発展は、21世紀の人類にとって、”IT革命”と並ぶ、重要な人類発展の柱と位置付けられています 再生医療の発展とその実用化は、何よりも、機能障害や機能不全で苦しんでおられる多くの患者さんにとって大きな福音になります。さらに、再生医療の発展とその実用化は、21世紀におけるわが国の医療産業やバイオ産業の動向にとっても、まさしく重大な影響を及ぼすでしょう。

2001年5月に日本再生医療学会が発足し、2002年4月に第一回学会総会を京都で開催させていただき、予想をはるかに越える多数の方々のご参加を頂きました。今後のわが国における再生医療の進歩、発展を期する上において、学会が果たす役割は極めて重要であるのは言うまでもありません。再生医療が画期的な治療として患者さんに受け入れられ、社会に貢献できるようになるためには、科学としての再生医療研究の進歩と、研究成果に対する実用化の促進という二つの要素があります。学会の性格上、後者の”実用化の促進”に関しては、学会としてその活動を行うには大きな制約があります。学会としての制約があり、物理的にも限界のある事業活動、すなわち、一般の方々や企業の方々に対する啓発活動や、情報提供活動、臨床応用や実用化に対する支援活動、及び、再生医療の普及に関する活動、これらの種々の事業活動を可能にするために、学会からは独立した組織であるNPO法人再生医療推進センターを設立いたしました。日本再生医療学会はこの事業活動を支援しつつ、NPO法人と緊密な連携を行っていくことになっています。再生医療推進センターは、機動性を持ち、かつ意志決定がスムーズにおこなえるフラットな組織にするために、学会からの独立性が要求されます。また、患者さんや社会に貢献するという本来の主旨を実践するためにも非営利活動である事が必要です。以上の理由により、再生医療推進センターは非営利団体で、しかも法人格を有するNPO法人として機能するのが理想的であるということになり、NPO法人として認可申請を行い認証を受けました。

NPO法人活動を開始するための準備も終わり、ようやくスタート地点に立つ事ができました。日本再生医療学会会則に記されているように、学会法人会員の会費の半額がNPO法人の活動運営資金に充当される事になっていますので、これを唯一の元手として活動の準備を進めさせていただきました。実際には学会の先生方や、NPO法人の理念に賛同を示していただいている多くの方々に、ボランティアーとしての無償の協力をいただいております。NPO法人が立ち上がったばかりということもありますが、乏しい活動資金のなかでなんとか準備を進めることができましたのも、多くの方々のご協力のお陰です。たとえば事務所にしましても、とても家賃を払える状況にはありませんでしたが、NPO法人の理念に共鳴していただいた先輩の先生の御厚志により、無料のご提供をいただきました。再生医療推進センターのホームページも立ち上がり、NPO法人活動を始める手筈が整いました。事業活動が開始され、本格的に進行して軌道に乗りますと、各種団体・個人からの寄付と、NPO法人の事業活動に伴う収益が、NPO法人の主な活動運営資金になります。会計上の利益はすべて、再生医療の発展のための事業活動、社会活動、公共活動に充てられます。NPO法人は幅広く一般市民の方々に開かれているものであります。私たちの方からも、できるだけ積極的に少しでも幅広く一般の市民の方々に受け入れられるように努めていく必要があります。情報開示(open)が原則でありますから、収支決算に関してももちろん一般の市民の方々が閲覧できる様になっています。私たちは、”open ”に加えて、”clear ” と ”fair ”という概念を絶えず念頭において、NPO法人活動に邁進していきたいと思います。

本NPO法人が、一般の方々や、官界、産業界に対する精力的な啓発活動を行う事により、再生医療に関する正しい理解が得られること、再生医療の進歩、日本から発信できるような画期的な再生医療の開発、及びその実用化に寄与する事により、少しでも多くの患者さんにとって福音となること、さらに、再生医療の実用化と普及を推し進める事により、医療産業を始めとするバイオ産業の活性化や新しい雇用の創出を通じて社会に貢献できることを祈りつつ、NPO法人としての着実な歩みをめざしていく所存です。皆様方の暖かい御理解と御支援のほどを、なにとぞよろしくお願い申し上げます。


2.設立趣旨

この法人は、再生医療の進歩及びその実用化に寄与するための活動を行うことを目的とします。
 「再生医療」とは、機能障害や機能不全に陥った生体組織・臓器に対して、細胞を積極的に利用して、その機能の再生をはかるものであります。現在、臓器や組織の機能がそこなわれた疾患に対しては、臓器移植又は人工臓器による治療しか有効ではありません。しかし、臓器移植には、常に拒絶反応、免疫抑制の医学的問題と深刻なドナー不足という社会的問題を抱えており、これらの諸問題の解決策として、「再生医療」の実現が強く求められています。
 「再生医療」は、臨床医学、基礎医学以外に分子細胞生物学、発生工学、細胞工学、組織工学、材料工学等、さらに、生命倫理学、法律学、医療経済学等を包括して成立する領域であります。 既に、皮膚や骨の分野においては、再生医療として実用化され、世界的に臨床応用されていることは周知のところでありますが、肝臓、膵臓や血管の領域に関しても、その再生医療の実用化が行われつつあります。近年多分化能をもった細胞(万能細胞)を用いる研究の目覚しい発展があり、中枢神経や角膜、網膜、内耳、さらには心臓などに対する再生医療の実用化も将来的に可能になるであろうと考えられており、その成果が待たれています。
 「再生医療」を含むバイオテクノロジーの急速な発展は、21世紀の人類にとって、「IT革命」と並ぶ、重要な人類発展の柱と位置付けられるに至っています。この世界的潮流を受けて、日本政府は平成11年1月29日に「バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本方針」を申合せ、バイオ関連研究開発事業を『ミレニアムプロジェクト』として国家戦略を構築し、実行に着手したところであります。その目標のひとつに「疾病の克服、健康の増進」があり、(例)としては、「オーダーメイド医療の提供による副作用の予防、生体適合材料の開発」が挙げられています。これを実現する領域が「再生医療」であります。
 この法人は再生医療の普及を図るとともに、再生医療に携わる研究者と産業界の橋渡しをすることにより、再生医療の実用化、新しい雇用の創出、国際競争力の強化等を通して、社会に貢献することを確信して設立されるものであります。


3.申請に至るまでの経過

近年、再生医療の実用化の可能性、及びその必要性が認識されはじめ、これまでにも個人単位では当法人が目的とする活動が行われてきましたが、幅広い人々を対象とし、かつ活動範囲も多様にわたるために、個人単位の活動のみで目的の達成をはかるには限界があります。再生医療の実用化を目指そうとする社会的機運が高まった結果、平成14年4月に再生医療に関する第1回目の学会が新しく開催されることが決まりました。
 そこで、これを期に、従来の再生医療に関する活動を総括するために法人を設立し、かつ、その活動をより一層効率的に機能させて広く社会に貢献する目的をもって、設立申請に至った次第です。


                     平成13年10月26日

NPO法人再生医療推進センター理事長 井上一知