NPO法人再生医療推進センター

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梅雨明け空
【無為駄言】やっと京都の空は梅雨明け。でも,いきなり酷暑?,厳暑?,猛暑?,水分を摂って,慎重に行動したいものです。ここ数十年のネット環境の進歩には驚愕させられますが,私はその進歩と「好きこそ物の上手(?)なれ」が同調して,パソコンもネットも時代とともに少しずつ学んで自然と身についた幸運な世代です。ネット上には多くの方が営利・非営利で情報を提供してくれていますから,自分の頭脳がネット上に拡大したような感覚ですね。そんな私がいつも訪れるサイトに「GIZMOD(ギズモード)」というサイトがあって,私好みの雑多な情報が提供されています。そこに7月29日付で再生医療に関する記事「小さいけれどデキルやつ。医療界注目の「ミニ肝臓」ってどんな技術?」が掲載されています(ミニ肝臓とその臨床研究については,当サイトの「再生医療トピックスNo.20」に詳細に記載されています)。この記事は「Mugendai(無限大)」というサイトからの転載です。この記事の中でこのミニ肝臓の気づき(セレンディピティ)の記載を読んで,昔膵臓から膵島を分離していた頃のことを懐かしく思い出しました。私たちのグループでも分離した膵島の細胞から膵島(擬き)を再構成させることがありました。それも培養面を細胞培養用にコーティング処理していない微生物用のシャーレの中に細胞を分散させた培地を入れ静置させると自然に細胞が集まり膵島様になっていきます。同じ様な気づき(セレンディピティ)を経験していたことを嬉しく思いました。武部貴則先生らはさらに進めて複数の細胞種を再構成させる工夫もされていて,成る程と膝を打ちました。複数種の細胞を培地中に分散させて放置すると自然と同じ細胞同士が塊となって複数種の細胞で構成された細胞塊になりません。小いさな穴の有る培養底面の培養器に複数種の細胞を均一に分散させて培養器に播種させることによって強制的に複数種の細胞による細胞塊を再構成できることになります(そんなに簡単でなく,複雑な工夫をされていると思いますが)。
Mugendai(無限大)」の文章の中に「ミニ肝臓の研究について当初は「きたない研究」と言われた」と書かれています。私も長く細胞培養を基本技術とした分野に関わっていたのですがあまり聞いたことがない言葉でした。「説明が合理的でない部分が含まれている」,「論理を詰め切れていない部分がある」という意味のようです。でも,目の前に実態があり,結果がある場合は,それってセレンディピティの塊ですよね。研究者にとってワクワクする状況です。iPS細胞や間葉系幹細胞を応用した再生医療は,「説明が合理的でない部分が含まれている」,「論理を詰め切れていない部分がある」状況かもしれませんが,セレンディピティの塊で再生医療の未来は明るいと感じています。(S)