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ノウタケ

【無為駄言】写真は京都御苑の雑木林で見つけたノウタケです。京都御苑と言うより御所の方が一般的ですが,正確には京都御苑の中に京都御所と仙洞御所があります(京都御苑HP)。少しグロテスクなノウタケですが毒は有りませんし,食用として出汁をとることが出来るようです。確かに,このキノコ,見た目が脳に似ていますね。

最近,米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが「培養器中で多能性幹細胞から分化させた人工脳(皮質オルガノイド)がヒトのものと類似した脳波を発生した」と幹細胞生物学の学術雑誌「セル・ステム・セル」に投稿しました。この研究でiPS細胞から様々な種類の脳細胞に分化させ培養されたミニ脳からヒトのものと類似した脳波が発生したことが確認されました。ヒトの多能性幹細胞から培養器内で作製した「脳オルガノイド(オルガノイド=組織構造体)」と呼ばれる豆粒大の人工脳をヒトの脳に似た細胞構造を持つものへと発達させることに成功したと報告された事などがNewsweek日本版/2019年9月3日で詳報されています。培養されたヒト多能性幹細胞は様々な種類の脳細胞に分化し、三次元構造へと自己組織化し,ヒトのような機能的ニューラルネットワークへと発達したと言う事です。

幹細胞を使ってヒトの臓器の三次元モデルを作る技術は飛躍的に進歩しています。特に人工脳「脳オルガノイド」は、その倫理的な問題で注目されています。それは,人工脳には「意識があるのでは?」と多くの科学者が警告・危惧しているとNewsweek日本版/2019年10月25日に詳報されています。培養皿で培養されているミニ脳に意識が有るとすれば,倫理的な問題が生じてくるのは当然ででしょう。サンディエゴの「グリーン・ニューロサイエンス・ラボラトリ」が「『意識』を定義するためのフレームワークを早急に策定する必要がある」と問いかけ,ペンシルバニア大学の神経科学者チームが2019年10月に投稿した「Cell Stem Cellの論文」で、倫理的なガイドラインの必要性を訴えていいます。

「意識があるのでは?」と言う問いかけはたいへん難しい問題です。「意識」と言う定義をウィキペディア(Wikipedia)で見てみても多様な解釈や理解がある事がわかります。医学的な側面からの定義だけでなく,色々な立場からの深い議論が必要となるでしょう。(S)