NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.27


専門分野: 耳・鼻・咽頭

Q: 左耳が聞こえない

 はじめまして、茨城県在住の40歳になる男性です。小学生のころから左耳が聞こえず、ずっとそのままでいました。医学の発展があり、どうにかなるかなとだいたい10年ごとに耳鼻科に行き検査などをしてもらうのですがいつも言われることは、もうだめですね、とのことです。小さいときに何かのウィルスか菌が入り込んで細胞をだめにしたのではないかとの事なのです。再生医療でどうにかならないものかと投稿しました。いかがでしょうか。よろしくお願いします。

掲載日: 2006.8.30

A:

 一般的に「高度難聴者」とは、手術や薬物その他の治療法では、回復不能であり、しかも補聴器も使用できない程度の「両側高度難聴者」と定義されているようです。高度難聴者の原因は、現在のところ不明なものが一番多く、その次にウイルス感染、薬の副作用、免疫異常などが考えられています。このような患者に対し、人工内耳が有効な手段と考えられています。すでに、約15年前から臨床応用が始まり、1000例以上の患者が手術を受けておられます。高度難聴者は原因にかかわらず、ほとんどすべての疾患で内耳の有毛細胞に欠落があるといわれています。有毛細胞は音の振動を神経のシグナルに変えるもっとも重要な細胞です。この有毛細胞さえ再生できれば大部分の高度難聴者が救われる可能性があります。特許その他の理由で研究が秘密裏に進められている可能性もありますが、諸外国からの報告はきわめて少ないです。一方、日本では京大耳鼻科の伊藤教授をはじめとし、網膜再生の研究と同様、ある種の神経幹細胞を内耳(内耳の蝸牛)に移植したところ有毛細胞様の細胞に分化、生着するという研究報告も出てきています。現在日本で最先端を走っている伊藤教授のプロジェクト案が以下のアドレスにまとめておられますので、ご参照ください。http://www.ymizushima.org/what/01_b2.html
いずれにしましても、現時点では臨床応用は行われていないようです。
ご質問の方のように、片側だけの難聴では、人工内耳同様内耳再生の適応にはならないかもしれませんが、内耳再生が一般的に広く臨床応用されれば、適応となる可能性は十分にありそうです。
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