NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.312


専門分野: 骨・軟骨

Q: 離脱性骨軟骨炎

 はじめまして。私は札幌の中学硬式野球でトレーナー兼コーチをやっているものです。トレーナーと言いましても、医学につきましては全くの素人です。子供たちのメンタル面やフィジカル面の悩みの相談相手をしている程度です。先日、チームの2年生の投手が肘の痛みを訴えまして、病院に行きましたところ、「離脱性骨軟骨炎」と診断され、手術が必要であるとの処方でした。膝の軟骨を肘に移植するため、夏休みに手術をし、リハビリに6ヶ月かかるとの診断結果です。中学2年生ではありますが、身長180センチ、体重90キロ、足の大きさは32センチというビックサイズですから、成長期も終わりに近づいているのかもしれませんが、そこは子供ですから「野球を続けたい」という強い意志の元、両親も手術に踏み切る覚悟をしております。ただ、夏休みまでは2ヶ月あり、復帰までは1年近くあります。何とか手術を回避し、食事療法や内服(グルコサミンなどの服用)で軟骨再生は出来ないものでしょうか。手術となりますと、膝も開くこととなり、走り込みなどもできず、本人のモチベーションの維持が困難に思えます。それと実際筋肉等も落ちますので、スキル面やフィジカル面はもちろんメンタル面での心配もあります。復帰までの1年間で、今の状態よりもマイナスになるのであれば、手術を回避して内服や食事療法による軟骨の再生を期待する方法もあるかと思い、その可能性について教えていただければ幸いです。よろしくお願い致します。

掲載日: 2007.5.30

A:

 具体的な治療法のご相談ですので、最終的にはご本人とご家族が担当の医師とよく相談されて、理解・納得された上で治療を受けられることが大切であることを最初に申しあげておきます。
離脱(断)性骨軟骨炎の治療としては、症状や病変部の状態に応じて幾つかの段階があります。比較的軽い場合は、数か月の安静と保存的な治療(消炎鎮痛剤の内服など)が行われますが、これでは不十分と判断される場合は手術の対象になります。手術も、遊離軟骨がある場合にこれを除去するだけの比較的軽い手術から、骨軟骨損傷部の固定、さらに損傷が強い場合は軟骨の自家移植などが考慮されます。従って、ご相談にあるような「内服や食事療法による軟骨の再生を期待する方法」は、ありうるとしても保存的名治療法に関連してあくまでも補助的に行われるもので、病状がある程度以上進んでいて手術が必要と判断される場合には、残念ながら、手術に代わるだけの効果を期待するのは無理だと思います。
将来の練習計画などについてのご希望なども含めて、担当の医師と十分に相談され、最善の治療法を選択されることをお勧め致します。
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