NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.453


専門分野: 脳・神経・脊髄

Q: 筋委縮性側索硬化症

 2010年12月に筋委縮性側索硬化症と診断されました。38歳、女性です。発症は2009年5月頃。当初は多巣性運動ニューロパチーの疑いもあったのでガンマグロブリン療法を行いましたがあまり効果がなく、病状の進行と精密検査の結果、現在に至りました。今はリルテックを服用しています。
ips細胞を使った再生医療の分野でこの種の神経系の病気の研究は今後されるのでしょうか。すでに研究が始まっているのなら、わかる範囲で結構ですので情報をいただけたらと思います。

掲載日: 2011.3.12

A:

  筋委縮性側索硬化症(ALS)の患者さんの細胞からiPS細胞を作り、運動神経などに分化させたとの報告が2008年にありました(Dimos JT; Rodolfa KT; Niakan KK; Weisenthal LM; Mitsumoto H; Chung W; Croft GF; Saphier G; Leibel R; Goland R; Wichterle H; Henderson CE; Eggan K. Induced pluripotent stem cells generated from patients with ALS can be differentiated into motor neurons. Science、 2008、 321、 p1218-21.)。この論文の日本語要約がネット上にありましたので紹介します。http://www.als.gr.jp/staff/document/kiso/kiso_30.html
 これにより、原因の解明や治療法の開発が格段に進み、より有効な治療法が必ず発見されると思います。また、iPS細胞とALSに関連した情報は文部科学省のウエッブページにもあります( http://www.ips-network.mext.go.jp/patient/disease/als/ )。参考になさってください。
 iPS細胞ではありませんが、再生医療的な治療法として、胎児の脊髄から培養した幹細胞をALS患者さんの脊髄に注入する臨床研究がアメリカで開始されています。これを紹介したCNNのウエッブページ(英語)です( http://www.cnn.com/2010/HEALTH/05/04/stem.cells.lou.gehrigs/index.html )。
 ALSは難しい病気ですが、研究は盛んに行われ、新しい治療法も試みられています。他の多くの疾患に対しても、iPS細胞を作製して病気の原因を解明し、新しい治療法を模索する動きが広がっています。今後はこのような研究の成果が続々と発表されることが期待されます。
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