NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.459


専門分野: 骨・軟骨

Q: 股関節固定術解除後、人工股関節置換術における中殿筋等の筋肉再生医療について

 先天性両股関節脱臼で1歳〜3歳保存的治療
10歳より左股関節運動負荷にて痛み出現、左臼蓋形成不全あり15歳左股関節固定術施行
1年半前より腰痛・右股関節痛を自覚し近医受診、右股関節は特に変化なく、腰椎下部の側湾を指摘、脚長差解除と筋力リハをといわれました
右股間節機能を保持しつつも、腰痛悪化しQOLに支障がでてきた場合、固定を解除し左人工股関節置換を行う治療を知り、可能かどうかH22年3月に奈良県の股関節専門施設であるO病院整形受診しました
関節固定術時広範囲に筋肉切除をしており、CT上わずかな筋肉の残存あるが退化しているため、もし手術行った場合には自立歩行が無理であること、年齢上でも現時点では手術適応なしとの診断で、現状維持・職業をやめるとよいとの薦めでした
理解はしたのですが、仕事を定年までやめたくありません
膝関節軟骨の再生医療は治療段階に至っていますが、筋肉の再生医療の研究は現段階では進んでいないようです
私の場合稀な症例ですが一部分でも合うような研究をおこなっていかれる機関はありますか?
将来的に筋肉再生を利用した再手術が可能になる日がくるのでしょうか?
加齢は骨・筋肉再生やリハビリに不利ですが、あと何年現状を維持していけばいいのか、研究が行われているならば時期の選択も教えていただければと願っています。

掲載日: 2011.4.3

A:

  骨格筋の再生についてのご相談です。
 筋肉の再生医療は、心筋の再生や筋ジストロフィーの治療などをめざして盛んに研究されています。筋肉組織の中にはサテライト細胞と呼ばれる組織幹細胞が存在し、これを元にして筋肉組織を再生させることができます。また、骨髄や脂肪組織などから得られる間葉系幹細胞(または前駆細胞)が筋肉組織に分化することや、ES細胞やiPS細胞から筋肉に分化する細胞を誘導できることも示されています。このうち、多くの研究は未だ動物実験の段階ですが、心筋再生は臨床研究段階に入っていますし、脂肪由来前駆細胞を用いた尿道括約筋の再生医療も臨床研究が始まりそうです。このように、筋肉の再生医療の研究は着実に進んでいると思います。ただし、ご相談のような状況で具体的にどのようにすれば治療できるのかというのはかなり複雑な応用問題になりますので、幾つかの基礎的な臨床研究を積み重ねた後になると思います。従って、今のところ、あと何年たてば、というのは予想しにくい段階ですが、研究は着実に進行しているとご理解いただいてよいと思います。本相談室の文番号341418454などにも関連したご相談がありますので、参考になさってください。また、やや専門的になるかもしれませんが、ネット上でも以下に記したようなページに関連事項が解説されています。
筋肉再生に関する解説:国立長寿医療センター 再生再建医学研究部のホームページ
http://www.ncgg.go.jp/department/drm/toppage.htm
名古屋大学医学部附属病院 泌尿器科の「尿失禁の再生医療」研究のページ
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/uro08/concern/study01.html
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