NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.509


専門分野: 耳・鼻・咽頭

Q: 内耳の再生医療について

 私は感音性難聴で5〜6年前から苦しんでいます。教えてください
京都大学の山中先生のIPS細胞による内耳再生と、つい最近ニュースになりました慶応大学の岡野教授の内耳に薬剤投入による難聴回復記事が話題になりましたが、どちらが早くなるのでしょうか?またいつ頃実用化の見込みでしょうか?

掲載日: 2013.6.2

A:

  慶應大学、岡野教授らのグループによる難聴治療研究の成果が、慶應義塾のホームページ(下のURL)からご覧になれます(かなり詳しい解説も付いています)。
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2012/kr7a4300000bdsof.html
 この治療法は、近接する細胞同士が互いに分化を抑制しあうことで知られているNotchという情報伝達経路を薬剤で抑制することにより、音を感じる有毛細胞(感音性難聴で障害される細胞です)に近接する支持細胞を有毛細胞に分化させるというもので、体内にある細胞を必要な細胞に分化させる画期的な方法です。
 内耳は非常に繊細な構造をもつ小さい器官ですから、iPS細胞から有毛細胞を分化誘導したとしても、多くの細胞を最適な位置に置くことは容易なことではありません。その点、岡野教授らの方法は、手術的に薬剤を投与するとはいえ、内耳に直接触れる訳ではありませんので、実現できる可能性はより高いと思われます。
 実用化の時期は難しい問題です。薬剤の安全性や効果的な投与法の確立など、克服すべき課題はまだ多く残されています。どんなものを開発するにしろ同じような事でしょうが、多くの経費と人材を投入すれば、それだけ実用化が早くなることが期待されます。
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