NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.540


専門分野:脳・神経・脊髄

Q: 脳の骨髄がんによる脳神経(喉の神経)麻痺、唾も飲み込めません。

藁をもすがる思いでメールしております。 72歳になる父が、年明けに肝臓がんからの転移と思われる脳の骨髄がんに侵され、近くを通る神経(喉の神経など)がやられてしまい、現在、自分の唾も呑み込めない状態です。→誤嚥性肺炎を防ぐため。 もちろん、食べ物も一切呑み込めない為、春に胃ろうの手術をしました。 2月に脳のガンを取り除く手術をしましたが、一部はまだ残っております。術後、かなり痛みがあった為、サイバーナイフを行い、傷もみは10のうち6→2程度に軽減致しました。主治医の先生からは、ギャルソン症候群といわれ、春までもたない。。と言われましたが、今は食べれず痩せてしまいましたが、元気です。頭もしっかりしています。 ただ、食べられないので、痩せて、、筋肉も衰え、やっとトイレに行けるほどしか歩けません。ほぼ寝たきりです。 脳神経がどんどんやられて行き、目が見えなくなる、耳が聞こえなくなるなど色々言われましたが、今のところは何も病状は進んでいません。 あのまま亡くなってしまうのかと思っておりましたが、頑張ってくれています。ですので、亡くなる前に、せめて、スープ、ゼリーの一口でも何か食べさせてあげたいと家族一同願っております。 ネットで、神経再生医療のことを知りました。 父でも受けられそうな治療法はありますでしょうか?直接、本人が診察に行けない為、どのように病院へ連絡したら良いかも分かりません。 贅沢は言いませんので、せめて、一口、、水だけでもいいので何か食べさせてあげたいです。 何卒良きアドバイスをお願い致します。

掲載日: 2014.8.17

A:

ご相談の文面から推察しますと、肝臓がんが頭蓋底に骨転移して混合性喉頭麻痺(別名Vernet(ヴェルネ) 症候群)で苦しんでおられるご相談と存じます。  人工神経を使った末梢神経の再生医療はかなり進んでいて、臨床応用もされるようになっています。ただ、それを行えるかどうか、行ったとして効果が期待できるかどうかについては、治療を担当する医師による非常に専門的な判断が必要です。今まで行われているこのような治療からの類推で申し上げますと、悪性疾患が原因であるという点を度外視しても、少なくとも2つの意味で人工神経の応用は難しいのではないかと思われます。まず、通常は1本の神経を繋ぐことで症状の改善が期待できる場合に人工神経の応用が考慮されますが、今回の場合、複数の脳神経が関与していて一本だけの再建では症状の改善が難しそうなこと。次に、人工神経の移植では神経を繋ぐべき場所に到達して、繋ぐべき神経の両端を確認する必要がありますが、頭蓋底という元々到達が難しい部位に加えて、外科手術や放射線治療を行った後でそのような神経末端を確認することは非常に困難であろうと思われます。  残念ながら、根本的な手術は難しいとは思われますが、胃瘻からの適切な栄養補給やリハビリテーション的な処置で症状が少しでも改善する余地は残っているのではないかと期待されます。通常、このようなえん下障害は耳鼻咽喉科で治療しておりますので、一度、えん下障害の治療に詳しい医師とよく相談して頂くのが良いかもしれません。
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