再生医療相談室

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No.776 亜急性連合性変生症により手足の不都合

項 目

内 容

専門分野脳・神経・脊髄
質問タイトル亜急性連合性変生症により手足の不都合
質問内容

はじめまして。私は神奈川県川崎市に住む55歳で、昨年9月にビタミンB12の不足が見つかり、足先から太ももに発生している、痺れや筋肉のこわばり、胸腹部のこわばり、締め付け、腰の突っ張り、手の痺れが発症し、動けなくなりました。定期大学病院、溝の口、神経内科に入院してビタミンB12の補給をし、2ヶ月ほど入院しましたが改善せず退院して内服薬にて様子を見ておりますが快方に向かいません。また、便意の喪失でトイレのタイミングもわかりません。

性的なことを申せば、EDでもあります。。日頃から車椅子、またおむつ生活になり、少しでも生活スタイルが楽になれればとおもっております。そんな中で再生医療での神経細胞等の再生治療を知り、私の症状も大きく向上できるのではと思いご相談メールをしました。どうか私のこの辛い状態を克服していきたいと切に願っております。仕事もなくなり時間はたくさんございます。是非とも参画をお願い致します

掲載日2023年02月15日
回 答

基本的に亜急性連合性脊髄変性症(微妙に病名が違いますが・・・)と言うのはビタミンB12の不足によって神経(脊髄など)が変生して起こる疾患なのですが、B12が低下する原因がないと起こらないものと考えます。B12が低下する原因としては、胃全摘や悪性貧血など胃酸が出なくなる病態が背景にあることが多いですが、他に薬剤や菜食主義が問題になる場合もあります。これらに思い当たる障害などがない場合は、他の脊髄変性性疾患を考えなければいけませんが、大学病院などに通院のご様子ですから診断に間違いはないのでしょう。

そこでご相談は、「再生医療での神経細胞等の再生治療」と言うことです。

今現在、神経の再生医療は実現していません。脊髄損傷やパーキンソン病で治験が行われていますが、一般のヒトが受けることのできる医療にはなっていません。あるとしたら、脂肪由来の幹細胞を使った幹細胞治療で、アルツハイマーなど一部の神経疾患を対象としていますが、ただ、亜急性連合性脊髄変性症に効果があるかどうかは、やってみないと分かりません。ただ、やっている医療機関では安全性は確保されていますので、不利に働くことは無いと思われます(このあたりは、症状・適応と照らし合わせながら、医療者とよくご相談ください)。ただ、脂肪は患者さん本人から取りますので、その切除のための手術が必要だったり、1回の治療あたりの単価が数十万円から数百万円と高価だったりもするので、気軽にはできない物です。その点で、幹細胞を培養した上清液は1回数万円から使ってもらえる利点があり、比較的に安上がりです。

再生医療を試されるがどうかは、実際に行う医療者や、かかっておられる大学病院等の医師などによく相談してから決めていただくようにお願いします。