NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.16


専門分野: 脳・神経・脊髄

Q: 神経細胞の移植について

 神経細胞の動物への移植の簡単な方法がわかれば教えていただきたいのですが。よろしくお願いいたします。

掲載日: 2008.11.24

A:

 回答がたいへん遅くなり、申し訳ありませんでした。専門家の先生にとっても、お答えするのがたいへん難しいとのことで、ご容赦ください。専門家のご意見を掲載いたします。
1. 神経細胞というのは、脳を形成するような細胞をさしているのでしょうか、それとも、末梢神経をさしているのでしょうか。末梢神経であれば、神経を吻合することで1日1ミリ程度ずつ神経が再生していくことが臨床でも報告されています。脳を形成するような細胞ということになりますと、簡単な方法はありません。細胞培養などの操作を習熟し、移植に必要な細胞をどのように処理してから移植に使うかは、細胞の種類によってさまざまですので、簡単には説明できません。
2. 移植というのは、脳内に埋め込むことでしょうか。私たちが神経細胞の移植、というと、脳を構成するような細胞を、移植先の脳内に埋め込むことをい います。
3. ごく一部の方法を簡単に述べることで、答えとさせてください。
例)パーキンソン病のモデル動物の脳内に、動物胎仔(胎児のこと)由来のドパミン細胞を移植する場合
1. 動物胎仔(ラットなど)の脳をとりだし、中脳腹側とよばれる部分を顕微鏡の下でとりだす。
2. その細胞をバラバラにしてcell suspension(細胞浮遊液)と呼ばれる状態にする。
3. そのcell suspensionを10μlくらいのハミルトンシリンジに吸い込む。
4. 定位脳手術装置という頭を固定する装置に大人のラットを固定して、その脳の黒質あるいは線条体という部分に6-hydroxydopamineというクスリを注入して、パーキンソン病のラットを作る。
5. そのラットの線条体のところに、3で吸い込んだ細胞のうち2-4μlくらいを数分以上かけて徐々に注入する。
しかしこれをマスターするには、数ヶ月以上はかかりますし、細かな点を記載することはメールなどではとても無理です。

かなり基礎的な内容も記載されている本もご紹介いたします。
福田 淳、伊達 勲 共著
「脳移植の最前線」(中外医学社、1999年発行)
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