専門分野: 脳・神経・脊髄
Q: 脳の再生
米国では脳卒中患者に脳細胞移植の治験をしていますが効果はどれ位あるのですか。又ボストンライフサイエンス社のイノシンによる治験がそろそろ始まるようですが最新情報を教えて下さい。
掲載日: 2005.8.20
A:
脳卒中患者に対する脳内細胞移植の臨床応用は、私の知る限り、1つのグループ(ピッツバーグ大学が主体)が行っているのみです。hNT細胞という 細胞株を神経細胞に分化させ、脳の中の基底核という部分が脳梗塞になった患者12名(だったと思います)の脳梗塞の部分に、一人あたり200万個程度の 細胞を移植しました。その結果をごく簡単にまとめますと、
- 神経学的な改善効果が中等度得られている - 細胞を移植された部位の脳代謝が活発になっている - 脳内の細胞移植を受けた後、他の病気で亡くなった方の解剖をして細胞移植をした部分を観察してみると、ちゃんと移植した神経細胞が観察された
このような経過でありました。 脳内への細胞移植は最先端の医療であり、これらの結果を得たからといって、どんどん臨床応用がされる、というものではありません。 ただ、これまでのところ、将来に期待のもてる治療である、という印象です。 このグループ以外が行った、ということは聞いたことがまだありません。
(事務局より)イノシンに関しましては、引き続き調査しております。
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