専門分野: 脳・神経・脊髄
Q: 脊髄再生医学の最先端
私は5年前にバイク事故で頚髄の2番と3番を損傷してしまいました。その後遺症で首から下の体が麻痺し、呼吸もできなくなってしまいました。現在は呼吸ペースメーカーを使っているので呼吸機から離脱し自宅で親の介護を受けて過ごしています。 今インターネットで脊髄再生について色々調べてみてはいるのですが、なかなか有力な情報が見つかりません。 そこで現在の医学で脊髄再生について最先端な試みや有力な情報などがありましたら教えてください。 よろしくお願いします。
掲載日: 2008.11.24
A:
再生医療推進センター事務局の日裏と申します。 回答遅くなり申し訳ありませんでした。 ご質問に対する回答を以下に記します。ご参考になれば幸甚です。 脊髄損傷に対する治療法として、いくつかの臨床試験がおこなわれてきました。 すべてをこのページに記すには、スペースがあまりにも足りませんので、日本せきずい基金のHPに書かれていますので、ご参考になってください。再生医療に関するものでは、別のご質問にも回答いたしましたが、京都大学と関西医科大学での合同臨床研究が始まろうとしています。 対象は急性期の脊髄損傷患者さまで、自分自身の骨髄間質細胞を約2週間かけて培養した後、受傷2週間後に脳脊髄液中に注入するという手技です。結果が待たれます。また、中国では北京の首都医科大学朝陽病院の黄紅雲医師(脳神経外科)らの開発した、胎児の鼻の粘膜細胞(嗅神経鞘細胞)を受傷後6ヶ月以上経過した脊髄損傷患者さまに移植する治療法を実施しており、日本からも手術を受けられた方もいらっしゃいます。 しかし、日本の脊髄専門医によると、「この治療法の元となる論文は科学論文として問題が多く、データそのものは現時点ではほとんど無効ということである。運動機能のみについていえば、集中的なリハビリテーションを行えば、移植しなくてもこれくらいは稼げるかもしれない。ただ、痛覚で有意差があることは将来的には期待させる。」とのコメントでした。実際、手術を受けられた日本人のその後の詳細も不明です。一方、現在中国以外にもオーストラリアなどで臨床試験おこなわれ、可能性と安全性の評価が行われているのも事実です。
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