専門分野: 歯周
Q: 歯芽腫をとった後に骨再生
40歳の女性です。幼少期に舌腫瘍を切除し、下顎に放射線を照射しました。 その影響で左下顎に下顎に歯芽腫があります。その他の下の歯も小さくもろく現在は総入れ歯です。顎の骨自体も細く、歯芽腫を取ると下顎が二つになってしまいます。 この場合、歯芽腫を取り除いた部分に骨の土台を入れて自分の骨の再生を促すことはできないのでしょうか? 相談した医師は、「放射線を当てた骨はくっつきにくいので、骨は2つに分かれたままにして、顔の筋肉を調整するためにいくつかの健を切断することになる」と言っています。 一度きってしまうと取り返しがつかない気がしてとても怖いです。 この意見は医師に共通の見解なのでしょうか? ご意見をお聞かせください。 現在、歯芽腫の先端が口腔内に露出した状態にあり、虫歯の侵食を受けています?
掲載日: 2006.6.8
A:
放射線治療を受けたあとの下顎骨、いわゆる放射線照射骨は、放射線性骨壊死(血管が細く骨に栄養が届きにくい状態)の状態で、感染が生じると放射線性骨髄炎の状態に陥りやすいとされており、一般的知識です。一度骨髄炎の状態になると難治性で、進行性となり、大きな顎切除が必要になることもあります。歯牙腫は良性腫瘍です。放射線の影響で発生したのではなく、どちらかというと生まれつき(過誤腫的)なものです。良性腫瘍ですから、うまく周囲の下顎骨を残して病変だけを摘出することも可能かも知れません。その場合、下顎骨の連続性は保たれます。あるいは生着率のたかい骨髄の多く含まれた海綿骨を腸骨から採取して、移植して骨髄炎になることを防止することも可能かも知れません。病変の大きさにより選択肢があると考えます。ただし、最悪の場合、ご指摘のような結末を完全に否定はできません。
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