NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.292


専門分野: 骨・軟骨

Q: 変形性股関節症

 整形外科で「変形性股関節症」と診断されました。定期的にレントゲンを取っていますが、軟骨の減り方はきわめて遅く8年前とほとんど、変わりありません。薬はロキソニンを1日一錠飲んでいます。もう痛み止めは飲みたくありません。胃の調子も悪くまた、常に頭がすっきりしません。軟骨を再生させるのには、ヨシキリザメの軟骨がいいと聞きました。本当でしょうか?他になにか体に負担にならない様な物が、あつたら教えてください。

掲載日: 2007.1.9

A:

 変形性股関節症の保存療法(手術をしない治療)としては、運動療法(筋肉強化療法、ストレッチングなど)、薬物療法(内服、座薬、湿布など)、装身具療法(はきものの調節、杖など)、温熱療法(保温、加温)、食事療法(体重のコントロール)、その他(安静、鍼、代替療法など)があげられます。整形外科医にてリハビリ、温熱療法を行って頂くとか、局所的な湿布、塗り薬に切り替えて頂くのも良いかと思います。ロキソニンの内服に不満があるのでしたら、最近では経皮吸収型(貼り薬)の消炎鎮痛剤も増えていますので、担当の先生にご相談なさる方が良いと思います。
医者の診療の範囲にはいらない治療法として代替療法、補充療法とよばれる治療法がありますが、これには鍼治療、カイロプラクティス、健康食品等がはいります。
この中で健康食品のグルコサミン、コンドロイチンは実験的に関節軟骨の成分の産生を促進し、軟骨の新生促進、炎症を抑制することが分かってきています。しかし、実際に患者さんの症状を改善するかどうかは賛否両論の報告がされています。グルコサミンはカニやエビの甲殻に含まれており、また、コンドロイチンはフカヒレ、イカ、納豆等に多く含まれるといわれておりますが、これらの食品、あるいは、成分を濃縮したサプリメントを積極的に摂取したとしても、消化管から吸収され局所へ到達して作用するのに充分な量を摂取するにはかなりの高用量が必要になると思われます。もし高用量でもかまわないと考えられるとしても、グルコサミンの大量摂取はラットで毒性が確認されておりますので注意が必要です。
そのほかの対応としては、鍼治療で痛みが改善した、靴を調節して自覚症状がとれたとの報告もあります。変形性股関節症に対しては確実に効果がある代替療法はないと思われますが、今までにあげているような情報をもとに、いくつか試して頂くのもよいのかもしれません。
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