専門分野: 筋肉・軟部組織
Q: ALSのワクチン
ALSのワクチンはどこでてにはいりますか。
掲載日: 2007.2.26
A:
ご質問に対してお調べしたところ、2007/01/30(火)の共同通信発表の記事がありました。おそらく、この記事を見られてご質問をされたのではないかと推測いたします。 筋委縮性側索硬化症(ALS)のワクチンを、日本(滋賀医大分子神経科学研究センター)とカナダのグループが開発し、マウスで延命効果があったとの実験結果を米科学アカデミー紀要電子版に1月30日に発表した、と記載されています。しかしながら、この発表はあくまでマウスを用いた動物実験のデーターであり、まだ、ヒトへの応用が可能な段階には至っていません。まだ、ヒトへの治療を目的とした臨床治験は行われていないのです。すなわち、ヒトへの治療に用いるワクチンはまだ、どこにもありません。「ヒトへの応用が可能で、早期治療が期待できる」と発表されていますので、今後、研究が進めば、将来的にALSのヒトに応用可能なワクチンが開発される可能性が大いにあると思います。 以上、ご報告いたします。 参考資料 2007/01/30(火)共同通信発表 『筋委縮性側索硬化症(ALS)のワクチンを開発。 動物(マウス)実験で症状進行を遅らせることに成功。 運動神経が死んで全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、筋委縮性側索硬化症(ALS)のうち、遺伝性へのワクチンを日本とカナダのグループが開発、マウスで延命効果があったとの実験結果を米科学アカデミー紀要電子版に30日、発表した。 グループの漆谷真滋賀医大分子神経科学研究センター助手によると、ALSに有効なワクチンは世界初で「ヒトへの応用が可能で、早期治療が期待できる」としている。 ALSの1割は遺伝性で、研究グループは遺伝性の原因遺伝子の1つとされ、有害な活性酸素を無害化する「スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)」という酵素の突然変異に着目。 そこで、大腸菌を利用した遺伝子組み換え操作で酵素機能がない変異型SOD1を作り、ワクチンとしてマウスに投与すると、主に変異型と反応して働かなくする抗体ができた。』
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