NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.296


専門分野: 脳・神経・脊髄

Q: 腕神経叢麻痺の治療について

 私は16年前にオートバイの自損事故で腕神経叢引き抜き損傷となりました。
その後、検査の結果5本ある内の神経で、3本は根本から引き抜かれ、2本は伸びきった状態にあるとのことでした。
最初、伸びきった神経を修復する手術を受けました。
1ヶ月後、良い結果が見られず肋間神経移行術を受けました。
最後に肩関節固定術と前腕に太腿から取った、はっ筋を移植して症状固定となりました。
事故後から疼痛・カウザルギーといった激痛に悩みました。寝ている時は痛みを感じせん。
抜けた神経の根本から芽が出て来る可能性を信じています。
以下のサイトで人工神経(チューブ)で痛みを軽減するといった情報を得ました。http://kk.kyodo.co.jp/iryo/news/0817tube.html「京大再生医科学研究所(再生研)の中村達雄助教授、清水慶彦前教授らが開発した人工チューブ」。すぐに診察を受けましたが、私の期待していた結果は得られませんでした。
何か最先端の治療方法・手術方法があればご紹介して頂きたく投稿させて頂きました。

掲載日: 2007.3.12

A:

 御事情お察しします。神経の再生については、いろいろな施設で研究が行われています。なかでも良好な実験成績を出しているのが、チューブを使った人工神経です。一旦切断した大腿神経に人工神経をつないだところ、顕微鏡的にも正常の神経とほぼ同様な神経が構築されたとの報告があります。しかし、腕神経叢引き抜き損傷に限らず、神経の再生に関してはまだ動物実験の段階です。この動物実験の成果が実際の臨床に応用できるかどうかは、まだもう少し時間がかかるでしょう。安全性、確実な機能などの問題を解決し、広く臨床治験が開始され、結果が出れば、腕神経叢引き抜き損傷にも応用されるものと考えます。再生医療では、一度ブレイクスルーが起きますと急速に広がりますので、それまで期待してお待ちいただければ、と思います。
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