NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.317


専門分野: 糖尿

Q: 糖尿病と合併症の治療

 私の43才になる義兄が、数年前から糖尿病を煩っています。最近では、合併症と思われる体全体のむくみ(浮腫)が出てきています。どうやら腎臓の機能が低下してきているようです。本などで調べると、透析の一歩手前なのかと気になっています。 本人の話によると、インシュリンの注射をしているようですが、体内に残っているらしく、注射の量を減らしてもヘモグロビン値が良い状態のようです。 今回、たまたま、この再生医療のことを知り、質問した次第です。 腎臓に関しては、再生治療が難しいとのこと。 それでは、膵臓は、再生治療ができないものか質問いたします。 また、治療を行っている医療機関がありましたら教えて下さい。試験段階でも構いません。取り組んでいるところを教えて下さい。 しつこいようですが、腎不全の初期である場合、血管の再生によって機能が回復する可能性は無いのでしょうか? 以上、よろしくお願いします。

掲載日: 2007.7.15

A:

 体内にインスリンが残っているとのことですが、2型の糖尿病という意味でしょうか。
2型糖尿病の治療の大原則は、食事療法と運動療法です。私は、食事療法を守れない患者様には「血糖が厳格にコントロールされて助かるのは、眼と腎臓と神経だけです。食べれば食べるほど血糖コントロールをすればするほど動脈硬化性の合併症は逆にかかりやすくなります。」と説明しています。ご質問では、血糖値のコントロールが良好(ヘモグロビンA1cを6.5未満)であるとのことですが、腎機能の低下がみられていることは、これまでのコントロールがよくなかったのかもしれませんし、他に腎臓病が併存している可能性も否定できません。主治医に詳しく説明してもらう必要があるかと思います。また、膵臓の再生医療は実用化に近い臓器であるといわれていますが
やはりその目的は血糖のコントロールすることにより、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症や神経病変などの合併症を防止することにあります。したがって、現在の血糖値のコントロールが良好であるなら、治療の対象は腎臓ということになるのではないでしょうか。また、糖尿病性腎症がどの時期にあるかも重要な問題でしょう。むくみが出てきているのですと、持続性蛋白尿が現れていることが考えられます。血糖値のコントロールだけでは糖尿病性腎症が不可逆的となる時点をpoint of no returnと呼ばれています。確かに血管の再生によって腎機能の回復をはかるというのは興味あるアイデアですが、実際にはおこなわれていませんし、point of no returnを過ぎた腎症では無効だと考えます。
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