NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.443


専門分野: 骨・軟骨

Q: 左足関節と右踵骨粉砕骨折

 お世話になります。高所による転落により、左足関節と右踵骨粉砕骨折をしたものです。突然ですが自我培養軟骨移植術は軟骨欠損がひどい患者には適応ではないし、モザイクプラスティーも適応ではないと言われました。軟骨が完全に修復するために軟骨を全て作るというのは今の段階は無理でも将来はどうなのでしょうか。何年くらいかかるのでしょうか。また右足踵骨を固定せずに整復手術して軟骨を移植するということはできないのでしょうか。これもまたいつかできるようになるのか知りたいです。また固定術を一度したら軟骨移植はもうできないのでしょうか。これも知りたいです。質問が多くてすみません。

掲載日: 2010.10.1

A:

 両足を骨折されたとのこと、歩行が大変かも知れません。お見舞い申し上げます。
ご相談の中にもあるとおり、自家培養軟骨の移植は今のところ広範囲の欠損には適しませんし、部位としても膝関節で効果が確認されている段階で、他の部位への応用は行われるとしても試験的なものに留まっています。従って、現在のところ、ご相談のような状況では応用が難しいと思われます。
「軟骨が完全に修復するために軟骨を全て作るというのは今の段階は無理でも将来はどうなのでしょうか。何年くらいかかるのでしょうか。」とのご質問ですが、自家培養軟骨の作成方法が進歩すれば、次第に大きな欠損にも対応できるようになると期待されます。ただし、全く軟骨が無いところにこれを応用して、新たに関節面を作製するというような手術が安心して受けられるようになるのは、もしもできるようになるとしても、かなり(何年も)先のことだろうと思われます。
「右足踵骨を固定せずに整復手術して軟骨を移植するということはできないのでしょうか。」とのご質問に対しても、同じようなお応えになりますが、軟骨だけではなく、関節面全体を滑らかに整復して軟骨を移植する必要がありますので、必ずしも容易な手術ではなく、その効果も予想しにくいと思われます。
「固定術を一度したら軟骨移植はもうできないのでしょうか。」関節の固定術は、関節の機能を温存する形での他の治療が困難な場合にやむを得ず行われるものと理解しておりますので、その後に元に戻すことは困難と思われます。もし行うとすれば、単なる軟骨移植ではなくて、人工関節を入れるとか、新たに関節面を作製するとか、かなり大掛かりで困難な手術が必要になります。
実際にどのような治療を行うかは、歩行の困難さや痛みの程度、年齢や職業などを考慮して、十分に相談した上で総合的に判断して頂く必要があると思います。整形外科の医者にとって関節固定術は進んでやりたい手術ではないと思いますが、例えば痛くて歩けないような状態で他に方法が残されていないというような状況では、やむを得ず考慮しなければいけない場合もあると思います。また、受けられる患者さんとしては、そのような手術の後にどのような状態になるのかなど、将来への不安も大きいものがあると思いますので、医者かよく説明を受け、もしも類似の手術を受けた方がいらっしゃればその方とお話をされることで良い判断材料が得られるのではないかと思います。担当の医師よく相談され、必要に応じてセカンドオピニオンを得られるなどして、納得のいく治療を受けて頂きたいと思います。
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