NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.452


専門分野: 歯周

Q: iPS細胞で歯周等歯の再生

 私も含めて、歯周炎等歯の組織をiPS細胞を使って再生出来る治療が早く公的医療・保険で実現出来る様にならないか?!と
本当に、真剣に待ち望んでいる方がた達も多いのではないかと思いますが、
今の進捗状況は、どのようになっているのか?教えてください!
確か、以前は、
1、安全性と効果がまだ、不十分だと言うことと、治療できる医師が少ない、研修体制が不十分だということ
2、高度(重篤)な歯の治療には、多額の費用がかかり、患者数も多いので、保険財政が持たないのではないか?という財政的不安がある。
ということで、なかなか実現させることが出来ないと聞いた事があります。

掲載日: 2011.3.12

A:

  回答が遅くなりまことに申し訳ありません。
 歯周病の再生医療についてのご質問です。
 最も新しい情報として、歯根膜シートの臨床研究が開始されましたので、これについて書かせて頂きます。
 方法は、患者さん自身の歯から採取した歯根膜細胞を培養して、これを移植することで歯周組織(歯と歯ぐきを繋ぐ組織など)の再生をはかろうとするものです。このため、どこかの歯(親知らずなど)を一本抜く必要がありますが、この代わりにその他の寿命が延びることになります。東京女子医科大学・先端生命医科学研究所の臨床研究参加者募集のページは下記です。
 http://www.twmu.ac.jp/ABMES/ja/shikonmaku_boshu
 歯周病に限らず再生医療がなかなか実現しない理由について書いておられますので、この点について少しだけコメントさせて頂きます。
 安全性と効果については動物実験等で十分に検証する必要があるのは当然ですが、我が国ではブタなどの大型動物を用いた実験が出来る施設が不足しているうえに、このような研究を行う費用が潤沢ではありません。このため、多くの有望な技術がマウスやラットなどの小動物を用いた実験段階で眠っている状態です。実際に行う医者については、確かに新しい治療法は誰がやってもうまく行くとは限りません。しかし、良い治療法で治療費等の裏付けもあれば、多くの医者がよろこんで研修を受けると思いますので、医者個人個人の考え方というよりも、制度面での充実が大切なのだと思います。新しい治療法に多額の費用がかかるけいこうがあるのは確かに問題です。しかし、従来は治らなかった病気が治るようになることで、患者さんの社会的貢献が期待さきますし、治らないことによってかかってくる経費(歯であれば入れ歯、差し歯、インプラントの費用、他の病気であれば、人工透析の費用や、各種の介護、リハビリの費用など)は必要無くなるメリットもあります。総合的に考えれば、国民の健康が増進することは日本の国や社会にとって良い事に違いありません。どうしても高額で現状では負担できないものもあるとは思いますが、新しい治療法だけ私費でまかなってもらう高度医療という制度もありますので、そのような制度を使いながら、良い治療法は積極的に行っていくべきだと思います。
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