専門分野:脳・神経・脊髄
札幌医大の外傷性脳損傷の治験について
札幌医大で実施中の治験についてお尋ねします。「脳細胞の再生」として期待されている治験ではバイオ社の「SB623」がネットによく出てきますが、この二つの治験、対象疾患がともに外傷性脳損傷となっていますが、投与方法などは異なり、全く別のアプローチが大きく異なっています。なので、札幌医科大学の治験は札幌医大独自の研究で、製薬会社の「SB623」の新薬承認に向けての同大学独自の治療法の承認を受けるためのものと考えるべきでしょうか?
掲載日: 2018.03.24
A:
一般論としてですが、言葉の上では似た様な細胞であっても、作成方法が異なれば細胞製剤としては別のものになります。また、その細胞製剤をどのような疾患に使うかによってもそれぞれ別の治験が必要になります。
まずサンバイオ社の取り組みですが、米国で慢性期脳梗塞に対するフェーズ2bの臨床試験を実施中で、我が国でも治験を準備しているそうです。また、外傷性脳障害に対する治験は日米で実施中で、82%まで被験者の組み入れが完了しているそうです(「再生細胞薬「SB623」の開発進捗の総括について」平成30 年2月21 日、URLは http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1559545 )。なお、SB623という細胞は健常者の骨髄液を大量培養することによって生産されているそうですから、患者さんにとっては他家の細胞になります。
一方、札幌医科大学附属病院での治験ですが、こちらは発症後比較的早期の脳梗塞を対象としており、自家骨髄間葉系幹細胞を投与していますので、対象や方法が異なる治療法の治験となります。
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