専門分野:脳・神経・脊髄
低酸素性虚血性脳症に対する再生医療
以前にも質問したものですが、素人なもので最近分からないことがあります。
脳梗塞などに対する再生医療の話は度々聞くのですが、脳梗塞にしろ脳出血にしろ結局は脳へのダメージで運動機能などが失われたものだと思うのですが、脳の機能を再生させるのに脳梗塞はよくて、脳出血はダメなどかよく分かりません。そもそも低酸素性虚血性脳症による脳性麻痺は何に分類されて、どの会社のどの薬や手術に希望を持っていれば良いのでしょうか?
本当に今更な質問かもしれませんが、よろしくお願い致します。
掲載日: 2018.06.11
A:
低酸素性虚血性脳症による脳性麻痺についてのご相談です。
新生児低酸素性虚血性脳症の急性期には、自己臍帯血を点滴するような治療法が試みられ、AMEDのプロジェクトとして進行中です
( https://www.amed.go.jp/news/release_20180223.html)。
また、各種の脳や神経の疾患に対して自己由来の間葉系幹細胞を全身投与する治療法が多くの医療施設で試みられています。このような試みを通じて、間葉系幹細胞の安全性が確立し、有効症例が蓄積されてくれば、症状がほぼ固定した慢性期の患者さんに対しても、有効性が期待できるようになるのではないかと思います。
会社が薬や再生医療用の細胞を世に出すために行う治験では、対象となる疾患やその程度、年齢などを厳密に指定する必要があり、自ずから対象疾患は限定されます。一方、医師法に基づく自費診療であれば、再生医療安全性確保法に従って適正に手続を行えば、ある程度広い範囲の疾患に行うことが可能です。実際、厚生労働省が公表している再生医療実施医療機関をみると( http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000186471.html)、脳梗塞だけでなく脳出血も含む脳血管障害に対して再生医療を提供している医療機関も多くなっているようです。また、自己由来の間葉系幹細胞を使ったこのような治療は、第2種(中リスクの)再生医療に分類されますので、手続的にも他人の細胞を用いる第1種よりは簡略化された手続で実施可能となります。
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