項 目 | 内 容 |
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専門分野 | 脳・神経・脊髄 |
質問タイトル | 外傷性脳損傷と慢性期脳出血の類似性 |
質問内容 |
①医療ベンチャー「サンバイオ社」の間葉系幹細胞薬「SB623」のが実用化される日を一日千秋の思いで待っている脳出血後遺症患者です。同社は1月18日に、この薬の開発研究に「脳出血プログラム追加すする」との発表をしています。「SB623」は外傷性脳損傷の治験で有効性が確認されています。発表では、慢性脳出血を追加する理由として「外傷性脳損傷と類似性がある」点を挙げています。そこで質問です。外傷性脳損傷と慢性脳出血の間には類似性があるという医学的根拠があるのでしょうか?プログラム追加の発表があってから5か月。治験開始などの進展の発表がないため不安を感じてお聞きする次第です。ご多忙化と存じますが、お教え頂ければ幸いです。 ②ネットで目にした脳の再生医療についての記事に、「外傷性脳損傷と慢性期脳出血には類似性がある」というくだりがありました。この記事にある「類似性がある」という点には、客観的に見て医学的な根拠があるのでしょうか? (名古屋市 男性71歳) |
掲載日 | 2019年07月09日 |
回 答 | ①と②の問題は、外傷性脳損傷と慢性期脳出血の類似性についてですので、まとめて回答いたします。 まず、外傷性脳損傷ですが、頭部打撲などで頭部に直接外力が加わり、脳が潰れて、脳出血やくも膜下出血のような状態になるものから、激しいスピードで脳が揺らされることによる障害までかなり多様です。後者の場合、脳組織の広い範囲に細かい損傷があると思われますが、CTなどで捉えるのが難しい可能性があります。一方、脳出血では、脳の中に血腫ができて、直接的には周囲の神経細胞を圧迫して殺してしまうことが考えられます。つまり、組織が潰れるということで、これは、外傷性脳損でも起こり得るものです。 そして、慢性期の麻痺ということを考えると、要するに失われた脳神経の回路が正常な動きを妨げているという点では、両者は同じであろうと思われます。 ということで、両者の状態には類似性があるということかと思います。 |