項 目 | 内 容 |
---|---|
専門分野 | 脳・神経・脊髄 |
質問タイトル | 交感神経節切断後の再生可能性について |
質問内容 |
2018.06.11掲載「交感神経節切断後の再建可能性について」を相談した者です。 京都大学iPS細胞研究所CiRAに以下の掲載があります。 2018年8月27日「ヒト多能性幹細胞から高効率に交感神経細胞を分化誘導する方法を開発」 このニュースが伝えている内容は、交感神経節切断後の再生可能性を積極的に示唆するものでしょうか? 宜しくお願いいたします。 |
掲載日 | 2018年11月14日 |
回 答 |
この論文は、ES細胞やiPS細胞から、効率良く交感神経の細胞を分化させる方法が見つかったことを報告しているものです。ただ、今の段階では、ホームページの記述にもあるように、「交感神経細胞を用いた疾患モデルの作製や、自律神経に関わる新規治療薬の開発に寄与することが期待されます。」ということで、基礎研究や創薬への応用が期待されていて、ヒトへの治療応用には言及されていません。 一般論として、ES・iPS細胞から分化誘導した細胞をヒトの治療に使う場合は、できた細胞(即ち、治療に用いる細胞)で腫瘍化など有害事象が発生する確率が非常に低い事を実証する必要があります。また、交感神経節切断後の治療に用いる場合は、動物モデルでその病態を作り、治療用の細胞によってその病態が改善することを示す事が必要です。今回の発表では、このような研究は行われていませんので、とりあえず試験管の中で基礎研究や創薬の研究に使うことは期待できる、という表現になっているものと思われます。 交感神経の細胞を効率良く分化誘導する方法を確立したという今回の報告は、この分野の研究を加速するものであるとは思いますが、ヒトへの治療応用を行うには上記のような研究が必須ですので、残念ながらまだその段階には至っていないようです。 |
プライバシーポリシー
再生医療推進センターは再生医学、再生医療の実用化を通して社会への貢献を目指す非営利活動法人です。
Copyright © NPO法人再生医療推進センター All rights reserved.