NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室

No.647 SB623の治験の結果について

項 目

内 容

専門分野脳・神経・脊髄
質問タイトルSB623の治験の結果について
質問内容

対照群で2.4点だったのに対し、SB623群は8.7点でした。FMMSは運動機能を総合的に評価する指標で、数値が大きいほど状態がいいことを表します。

このことについて、わかりやすく教えていただけないでしょうか。

掲載日2019年01月21日
回 答

このご相談は、サンバイオ社のSB623に関する試験結果の中にある「24週時点のFugl-Meyer Motor Scaleのベースラインからの改善量は、SB623投与群で8.7点に対し、コントロール群では2.4点でした。」という文についてかと思います。

何か新しい治療法を開発しようとした場合、「少し良くなった」とか、「余り良くならなかった」では客観的な評価はできませんので、客観的に(できれば数値として)評価できる治療結果が必要です。例えば、抗がん剤などの評価では生存曲線などが比較されますが、脳卒中の後の治療成績を評価するために作られたのがFugl-Meyer Assessmentで、 脳卒中後片麻痺患者の運動機能,バランス,感覚の質,関節機能を評価するための疾患に特異的な機能障害の指標です。

評価項目は、運動機能(100点)、感覚機能(24点)、バランス(14点)、関節可動域(44点)、関節の痛み(44点)で、全部満点であれば226点になります。この点数が、治療によって24週後に、治療前に比べて8.7点増加し、一方、コントロール群では2.4点しか改善しなかった、というのが文の内容です。8.7点と2.4点の差をどのように評価するかは立場によりまちまちでしょうが、少なくともコントロール群(対照群)にくらべてより大きな改善があったことは間違いなさそうです。

例えば抗がん剤の場合、コントロールの平均寿命が12ヶ月のところ、治療によって14ヶ月になり、有意差が証明できれば、より良い治療法ということになりますが、12ヶ月を14ヶ月にするためにどれだけのコスト(副作用や治療費の増加)を払わなければならないかが問題になります。おそらく、手足に麻痺が残る慢性期の患者さんにとっては、余り副作用の心配が無いこの薬によって、少しでもよくなることが大変重要な意味を持つのだと思います。