項 目 | 内 容 |
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専門分野 | 脳・神経・脊髄 |
質問タイトル | お聞きいたします |
質問内容 |
muse細胞薬は急性期でないと効果はないのですか。 |
掲載日 | 2019年05月18日 |
回 答 | Muse(Multilineage-differentiating Stress Enduring)細胞は、東北大学の出澤真理教授らのグループにより発見された多能性の幹細胞です。このご相談は、Muse細胞を静脈内投与する東北大学での脳梗塞に対する探索的臨床試験についてのことかと思われます。この試験では、対象となす患者さんは発症後亜急性期の脳梗塞患者さんとされています。この細胞(CL2020細胞製剤)は、「静脈内に投与するだけで傷害部位に遊走、集積し、生着して組織を修復する」とされています。その時に、組織を修復するやり方が実は問題で、通常は死んでしまうような弱っている神経細胞を助けるような細胞(間葉系幹細胞はそのような働きがあると考えられています)であれば、弱った細胞が死んでしまった後では効果が期待できません。一方、投与した細胞自体が神経細胞になって、失われた細胞の代わりに働くのであれば、弱った細胞が死んでしまった後でも効果がある可能性があります。 それと、もう一点は、「損傷部位に遊走、集積し」という作用機序です。損傷した組織は、各種のサイトカインなどを出して、損傷部位であることを色々な細胞に知らせます。この点では、急性期あるいは亜急性期で、損傷部位から損傷の信号が出ていることが必要になります。 おそらく、静脈内投与と損傷部位への遊走・集積という点を考慮して、今回は「亜急性期の脳梗塞患者さん」ということになったものと推測します。ただ、原理的には、再生してほしい場所にこのような細胞を直接投与する方法もあり得ますので、「Muse細胞が急性期でないと効果はない」と断定できるかどうかは、今後の研究結果で明らかになるものと思います。 |
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