項 目 | 内 容 |
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専門分野 | 脳・神経・脊髄 |
質問タイトル | 神経変性性疾患の再生医療の疑問 |
質問内容 |
1年位前に脊髄小脳変性症(多系統萎縮症の疑い)と言われ、再生医療を受けたいと思っています。 今の再生医療の場合、幹細胞を投与するルートは静脈点滴がほとんどと思いますが、脳には血液脳関門と言うバリアがあり、通常の薬でもこのバリアを通過するのが難しいと聞いたことがあります。細胞ならなおさらでしょう。このようなバリアがあっても静脈注射された幹細胞あるいは幹細胞が作る分泌物は脳に届いて作用するものでしょうか? 神経変性性疾患の再生医療は国内では3-4施設がやっているようです。 幹細胞の由来が自分か他人かの違いなど細かい違いはあるようですが、 基本的には現在治験中のステムカイマルと同じ治療と思っていいでしょうか? |
掲載日 | 2021年08月04日 |
回 答 |
血液脳関門というのは、脳の血管だけで選択的に通過する物質と通過しない物質の選択が起こる機構のことです。薬の場合、いつもはからだの中に無い物質が通過できるかできないかは、その薬が脳に効くか効かないかを決めることになりますから、大変重要なのですが、幹細胞(ここではステムカイマルのような間葉系幹細胞を想定しています)の場合、分泌される物質は通常の生体機能を調節している物質ですから通過する場合が多いのかもしれません。また、病気のある脳の部位では血液脳関門の機能も落ちると言われていますから、認知症や萎縮症などの効いてほしい部位には効きやすいのかもしれません。いずれにしても、間葉系幹細胞の投与が有効な場合があることは間違いないようですが、効くかどうかはやってみないとわからない(その症例ごとに進行度や病態が異なることが影響しているように思います)というのが現状のようです。 あと、「自分か他人かの違い」というのは再生医療の制度(再生医療安全性確保法が適応となる再生医療)上は大事なことで、自分由来であれば拒絶反応の心配がなく、第二種再生医療で実施できますが、他人由来ですと拒絶反応が起きる可能性があって(幸い、間葉系幹細胞ではこれが起きることは少ないと言われています)、第一種再生医療に分類されて認可の制度が厳しくなります。ただし、ステムカイマル(脊髄小脳変性症に対して第Ⅱ相臨床試験の投与が終了したと発表があった再生医療製品)のように薬になってしまうと、再生医療安全性確保法の適応ではなくなりますので、別の制度になります。 |
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