再生医療相談室

再生医療相談室

No.783 再生治療の行く末。

項 目

内 容

専門分野脳・神経・脊髄
質問タイトル再生治療の行く末。
質問内容

10年以上前から脳神経再生治療の情報がネットに溢れ神経に障害者を持っている患者や遺族に大きな希望を持って今か今かと待って居たのですが、ミューズ細胞の開発中止やsb623の申請が一年以上議題に上らないと言う現実に心が折れる毎日を過ごしてます。相談者の考える脳神経再生治療の元年までには何合目まで来ているのでしょうか?10年後には25兆円規模の市場になると言われてますが、医療関係者でない我々は全く現実味を感じません。後、どれだけ待てば手に届く治療になるのでしょうか?

掲載日2023年04月05日
回 答

脳神経の再生治療についてのご相談です。

確かに、Muse細胞の開発中止やSB623の議論が起こらない状況が続いていますが、我が国の再生医療新法(再生医療等の安全性の確保等に関する法律)はあって、第一種から第三種に分類された再生医療は行われています。ただ、「病気を治療したい。」という臨床医の希望と企業(お金を儲けることが前提になる)の論理との矛盾が一連の事態の発端になっているのではないかと思います。実際の問題として、病気を治したいという臨床医の希望は高く付いて(間葉系幹細胞の場合、1回の点滴に200万円以上かかると言われています。)、とても一般に広まる値段ではありませんし、企業としてやろうとしても儲けが出ません。それと、臨床医が科学的な論理で押そうとしても、統計的分析には数が要りますから、多くの資本がかかります。そんなことで思うように進まないのだと思います。

「何合目まで来ているのでしょうか?」というご相談ですが、高くて良ければ今でも間葉系幹細胞の点滴が受けられます。ただ、Muse細胞は開発中止になったので今後どうするかの方針が決まらないといけませんし、SB623は話題にもならない状況が続いているので、学会とかで発表するとか、何とかしないといけませんが、それらの開発者としては効くと思っているものですから、なんとかなって欲しいものだと思います。