ごあいさつ
私たちは2001年に、再生医療研究に従事する全国各分野の専門家の方々と協力して日本再生医療学会を創立しました。私たちは日本再生医療学会創立と同時に再生医療の啓発と普及を目指して、NPO法人再生医療推進センターを創立しました。2002年に京都で日本再生医療学会総会を主催しましたところ、2000人の参加者を得、多方面からその意義の大きさについて高い評価を受けメディアにも大きく取り上げられました。第1回日本再生医療学会総会を契機として”再生医療”が、医学的にも、社会的にもその重要性・将来性が周知され、厚生労働省・政府からの積極的な予算もつく様になり、再生医療研究の飛躍的な発展に繋がりました。
その後、一般家庭の方々にも再生医療が医療・医学として幅広く認識されるようになりました(井上一知:家庭の医学;2005年)。わが国に“再生医療という医学用語”が正式に周知され定着したのは、第1回日本再生医療学会総会が発端であり、その意味でも学会設立の意義には極めて大きいものがあります。
NPO法人再生医療推進センターのボランティアー活動は、“再生医療の啓発・再生医療相談室、講演活動”、及び、“再生医療の実用化推進”を柱にしてきました。幸いにしてその後再生医療は私たちが想定していた以上のスピードで目覚しい進歩を遂げつつあります。実用化も着実に進みつつあります。
再生医療の本質、進歩、実用化の現状、将来性を新たな視点で捉えるべく、今回新たに“元気の出る再生医療”を連載していくことになりました。連載は2つのテーマで行います。“コラム・再生医療ABC”、及び、“再生医療の最前線”です。
“コラム・再生医療ABC”にはトピックスも連載します。当NPO法人の2名の理事の方々がそれぞれの専門性を活かした最新の情報・話題を提供し、わかりやすく概説してくださいます。
最近、医薬品医療機器等法、再生医療安全確保法などが承認され、再生医療を取り巻く法整備・環境整備が急速に整い、再生医療の早期承認・早期実用化が現実味を帯びてきました。少数例でも効果を推定できれば、一定の条件のもとで期限付きでの承認が可能となったのです。これは、難病等で苦しんでおられる多数の患者さんにとって絶大な福音となりうるものです。再生医療の分野では現在ips細胞が注目を浴びています。ips細胞はその発展が大いに期待されるものですが、実用化までにはまだまだクリアーされるべき課題が山積しており、長い目で暖かく見守って行く必要があります。
現実的には再生医療では体性幹細胞を利用した治療が先行しており、すでに多くの分野で実用化が進んでいます。体性幹細胞の中でも間葉系幹細胞を利用した再生医療は今後
他に治療法の無い多くの難病に対する画期的な治療法に発展する可能性を包含しています。法整備、環境整備の整った現状において、有効性が判明すれば早期承認、早期実用化への大きな道が開かれる時代になりました。
皆様、元気の出る再生医療の今後の連載を大いに期待してください。
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