再生医療トピックスNo.12「再生医療、国が新たな扉を拓く:脊髄損傷の治療に用いる自己骨髄間葉系幹細胞「ステミラック注」が条件及び期限付承認を取得」で紹介しましたが、その後の動きを追ってみました。
ステミラック注は脊髄損傷の治療として初の間葉系幹細胞を用いた再生医療等製品であり、患者さん自身の骨髄間葉系幹細胞によって損傷神経の再生を促します。
投与された骨髄間葉系幹細胞は損傷した脊髄周囲の血管新生や抗炎症作用、脊髄神経の再生によって神経症候や機能障害の改善効果を示すと考えられています。骨髄間葉系幹細胞の採取は骨髄(腸骨)からですが、投与する際には静脈に投与できるため、患者さんへの負担や侵襲性もあまり大きくありません。
怪我から31日以内の患者さんの骨髄液から幹細胞を取り出して増殖させる細胞医療である骨髄由来間葉系幹細胞「ステミラック注」は、札幌医科大学とニプロ(株)が共同開発しましたが、2018年12月に厚生労働省から最大で7年間の条件付きで製造販売の承認を得ていました。
中央社会保険医療協議会(厚生労働大臣の諮問機関)は2019年2月20日に、同治療用幹細胞「ステミラック注」に、公的医療保険を適用することを承認しました。静脈注射を使用し、算定薬価は1回当たり1495万7755円です。再生医療等製品として初の先駆け審査指定品目であることなどを考慮し、10%の補正加算が適用されています。3月26日付で薬価基準に収載される予定です1)。対象となる患者さんは250人ほどを見込んでいます。対象となるのは、「外傷性の脊髄損傷で、ASIA機能障害尺度がA、BまたはCの患者」に限られます。
ニプロ株は、本品の受注について、2019 年4月に開始することを予定しています。なお、供給当初においては、札幌医科大学学附属病院のみへの提供となります。同社の広報部によりますと、「4月以降、病院内での受け入れ調整などが済んだ段階で受注を開始したい」としています2)。
厚生労働省は、新規性が高く、未知の副作用が起きる可能性もあることから、患者さんや施設、医師要件を明確化する「最適使用推進ガイドライン」が策定しました。施設要件として、
などを求めています。治療の責任者については、
ことを求めています。
なお、札幌医科大学による本治療の成果については、2019年3月18日のYAHOOニュース3)に生き生きと紹介されています。
(参考資料)
(NPO法人再生医療推進センター 守屋好文)
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