ネット上に報道された再生医療関連情報を拾い出し,原文から抜き出したものを2?3行で記載。文をクリックすると元情報へリンク。そして,一口コメントも!
2021.10.01筋萎縮性側索硬化症(ALS)について、iPS細胞を活用して見つけ出した薬を実際の患者に投与する初期段階の治験で症状の進行が抑えられたと京都大学iPS細胞研究所の井上治久教授らのグループが発表しました(https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/211001-000000.html)。グループはALS患者のiPS細胞から作り出した神経細胞を使って実験などを行うことで、「ボスチニブ」という白血病の薬がALSの進行を抑える可能性があることを突き止め、2021年3月から、国の承認を受けるための治験を進めています(https://rctportal.niph.go.jp/s/detail/um?trial_id=UMIN000036295)。>ボスチニブはSrc/c-Abl阻害薬で慢性骨髄性白血病の治療薬です。Src/c-Ablはチロシンキナーゼで幾つかの神経変性疾患に関与していることが知られています。ボスチニブはALSモデルマウスの脊髄においてミスフォールドしたSOD1の蓄積を減少させることが分かっています(Science Translational Medicine, 9, eaaf3962 (2017)>新着論文レビュー:今村・井上「Src/c-Abl経路は筋萎縮性側索硬化症の潜在的な治療の標的である」(2017))。
2021.07.04筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、初期症状から3?5年の平均余命を伴う進行性の衰弱性神経変性疾患です。ALS患者が自家脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC)の投与を受け、7年間追跡された症例が報告されています。46歳の男性は2009年にALSの診断が確認され、彼のALS機能評価尺度-R(ALSFS-R)は43で、症状は急速に進行し、食事中に咳と窒息を起こしました。 2013年以降、患者は自家ADSCの合計6回の静脈内注入を受け、投与後すぐに症状改善に気づきました。彼は階段を降りるのには苦労しましたが、咳、構音障害、嚥下障害なしで健康を維持し、ALSFS-Rは45になりました。患者は、この報告の時点までにADSC療法後7年間、発症時から10年以上健康でした。>本症例は、ALS患者に自家ADSCの投与は安全で有用である可能性を示唆していますが、結果を他のALS患者に一般化するためには更なる症例が必要です。
2021.06.28慶応大学は、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って脊髄損傷を治療する臨床研究について、患者の受け入れを始める、と発表しました。1年かけて安全性や有効性を検証するとのことです。>尚、札幌医科大学の本望らは、13名の脊髄損傷患者に自己間葉系幹細胞投与し安全性と有効性が認められたと報告しています(O Honmou et al. Clinical Neurology and Neurosurgery Volume 203, April 2021, 106565)。
以下の対象疾患の分類表は厚生労働省「第二種再生医療等・治療に関する提供計画」を対象疾患別に提供医療施設を明示・分類した表にリンクします。分類名や対象疾患名をクリックすると大きな表の指定部分にジャンプします。再生医療等を受けようとする場合の参考にしてください。各施設の治療に関する詳細は表の右端の資料をクリックしてpdfファイルをダウンロードして下さい。同意説明文書をよく読み、医師からの十分な説明を受け、理解・納得した上で検討してください。
(*:対象疾患名は各施設から届け出られた疾患名を記載しております)更新日:2020年12月08日
標記報告会が報道機関等を対象に開催されましたので,以下に概要を掲載しました。
(概要)
(報道資料)NHK NEWS WEB 京都 NEWS WEB「幹細胞投与で認知症改善か」,2020.12.18
(報道資料)ABCニュース「「アルツハイマー型認知症」の治療で症状良くなった 「再生医療に使われる幹細胞が有効」と発表」,2020.12.18
認定再生医療等委員会 の承認、厚生労働省に届け出・受理を受けて行ったALS等に対する再生治療研究(自己間葉系幹細胞投与)で成果が得られたため、治療を行うことを計画し、認定再生医療等委員会 の承認を受けて厚生労働省に届けておりましたが、厚生労働省のホームページより転載(一部改変)した下表のとおり受理されました(治療を受けるにあたっては幾つかの条件と費用が必要です)。
再生医療等提供機関の名称 | 住所 | 管理者の氏名 | 再生医療等の名称 | 認定医療等委員会の名称 | 説明文書及び同意文書の様式** |
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医療法人社団恵仁会なぎ辻病院 | 京都府京都市山科区椥辻東潰5番1 | 院長桑原仁美 | アルツハイマー型認知症に対するヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた治療 | 医療法人財団康生会武田病院特定認定再生医療等委員会 | 資料1 資料2 |
医療法人社団恵仁会なぎ辻病院 | 京都府京都市山科区椥辻東潰5番1 | 院長桑原仁美 | パーキンソン病におけるヒト自己脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた治療 | 医療法人財団康生会武田病院特定認定再生医療等委員会 | 資料1 資料2 |
医療法人社団恵仁会なぎ辻病院 | 京都府京都市山科区椥辻東潰5番1 | 院長桑原仁美 | 難治性神経変性疾患(筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉、脊髄小脳変性症〈SCD〉、レビー小体病〈DLB〉、進行性核上性麻痺〈PSP〉)に対するヒト自己脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた治療 | 医療法人財団康生会武田病院特定認定再生医療等委員会 | 資料1 資料2 |
医療法人社団恵仁会なぎ辻病院 | 京都府京都市山科区椥辻東潰5番1 | 院長桑原仁美 | 難治性呼吸器間質性疾患(肺気腫<COPDを含む>、特発性肺線維症<IPF>、間質性肺炎)に対するヒト自己脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた治療 | 医療法人財団康生会武田病院特定認定再生医療等委員会 | 資料1 資料2 |
(**:正式名称 ? 再生医療等を受ける者に対する説明文書及び同意文書の様式)
参考情報:元気が出る再生医療 No.015「脂肪幹細胞によるアルツハイマー病の治療」
*: ALS; amyotrophic lateral sclerosis
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