NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.6


専門分野: 幹細胞など基礎

Q: 左手先天性末端低形成

 はじめまして。1歳4ヶ月になる息子は生まれつき左手に障害がありました。左手の人差し指、中指、薬指は豆状で、小指も内側に曲がっています。手のひらも半分くらいしかありません。現在、手の外科へ通院していますが、まだ小さいので手術の事など、ほとんど話がありません。出来るだけ早く、出来る限りの事をして頂きたいと思っているのですが、このような場合はいつ頃なのでしょうか。また、現在の医学でどの程度治すことができるのでしょうか?骨延長で、豆状の指は、機能するように伸ばすことが出来るのでしょうか?できれば具体的なものを教えていただきたいです。どうかお願い致します。

掲載日: 2005.6.14

A:

 何問か以前に切断指に対する専門家の回答をご参考になさってください。豆状の指に対しては骨延長という手段は有効ではないと思われます。したがって、手指の欠損に対する治療に準ずると考えられます。手指の欠損に対する治療では、一般的に足指の移植が行なわれます。この手術では、口径の小さい血管を顕微鏡下に縫合する技術が必要となり、血管縫合部が治癒する術後1週間は安静が必要です。特に、血管口径が小さく、術後安静が困難な小児では、通常、この手術が選択されることは稀です。また、足指を犠牲にして良いかどうか、の判断は、親ではなく、本人が決めるべきと考える医者も世界に数多く、その理由からも、この手術は積極的に行なわれていない現況です。万一、この手術が選択される場合は、3歳以降が好ましいとされています。本例の場合は、3本の足指を移植する必要があり、足に犠牲を十分に考慮する必要があると思います。
また、同じ専門家からこのようなご意見もいただいております。
指の再生技術は、残念ながら、未だに基礎研究段階です。しかし、私どもの研究室では、世界にさきがけて、すでに小動物レベルにおいて、非常によい結果を得ています。現在は、大動物レベルでの基礎研究を行ない、臨床応用を可能とする基礎データの蓄積をしております。今後の研究成果にもよりますが、早ければ、ここ数年の間に臨床試験を開始できるように努力、準備をしております。もし、今後、再生による指再建をお考えでしたら、現在の指の状況を十分に把握するため、写真をお送りいただきたく存じます。お送りいただいた写真は、頂いたお手紙と一緒にこちらに保管させていただき、今後、再生医学という先端医療の治療効果が十分に期待できる時期が参りましたら、再度、お手紙を書かせていただきます。すこしでもお役に立つことができるよう、努力させて頂きたいと思います。
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