NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.355


専門分野: その他

Q: 先天性絞扼輪症候群

 先月、産まれた娘が「先天性絞扼輪症候群」と診断さされ、両手の真ん中3本の指がくっついた状態、また半分以上の長さが欠損している状態です。
先日、テレビ番組で、「魔法の粉(細胞外マトリックス)を振りかけただけで、指が生えてきた」という内容をやっていました。
そのようなことが本当に可能なのでしょうか?それが可能なら娘の指は生えるのでしょうか?
そのテレビ番組に出演していた教授によると、将来、腕一本生やすことは無理だが、指半分ならば可能であるとも言われていました。
直接、その魔法の粉(細胞外マトリックス)を研究しているアメリカの大学に連絡を取ったところ、関節を生やすことはまだできないということでした。

掲載日: 2008.9.27

A:

 今回紹介された治療法は「in situ tissue engineering」(とりあえず「生体内組織工学」としておきます)とも言うべき方法で、組織の欠損部にコラーゲンなどの細胞外マトリックスで再生するべき空間を確保しておくと、そこに隣接する組織から再生すべき細胞が進入してきて周囲組織と同じような組織に置き換えられるというのが原理です。従って、指の断端に「魔法の粉」で指先の形を作っておくと、その中に断端に露出した骨や爪の根元、皮下組織や皮膚の細胞が入ってきて、元のような組織が再生したものと考えられます。従って、「指半分なら可能」という意味は、その程度であれば、断端から供給される細胞で伸ばすことが可能であるということですが、断端に存在しない組織(例えば関節軟骨)やそれを含む新たな構造(例えば関節全体)が形成されることは期待できません。ただし、関節を含む指全体の再生医療も研究されていない訳ではありませんので、色々な知見が積み重なってゆけば、将来的には良い方法が見つかるものと期待されます。
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