NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.361


専門分野: その他

Q: 胆道閉鎖症と肝臓再生について

 ●もうすぐ生後4ヶ月になる男児なのですが、胆道閉鎖症で先日手術を受けました。タイプは3型のCで、生後77日目に施術。
将来的に肝硬変への道を辿っていくように思われます。(肝臓の数値が高いく、右肩上がりでγ-GTP値が500近いので)場合によっては近い将来かもしれませんが・・・
●そこで現在山口大学などで実施されている骨髄細胞からの肝臓再生について知りたいのですが、この方法は小児(乳児)にも適応可能でしょうか?
●また、胆道閉鎖児への適応は可能でしょうか?
現在葛西術でなんとか命をつないでも、ほとんどが結局移植への道を辿っているのが現状です。
もし、山口大学で実施されている骨髄細胞移植が適応されるなら、小児外科との連携で、将来的に胆道閉鎖症児における治療として胆道再建の葛西術とこの骨髄細胞移植とが、胆道閉鎖症の子供達を救う手立てとなりうるのではないかと期待しております。
●胆道閉鎖ではやはり、胆道を再建しても肝内の胆管が全て開いているわけではなく、黄疸の数値がどうしても高くなってしまうので、現在の骨髄細胞移植の条件には当てはまらないのですが、肝臓が再生するものなら、胆管なども再生してゆくのでしょうか?
●何度も再手術をする価値があるものか、移植を待つしかないのか・・・迷っています。将来的にでも、適応可能でしたら、それまで時間稼ぎとして再手術も考えられるのですが。
●現在、生体肝移植以外の方法を探しております。
他にもなにかご助言いただければ、幸いです。
宜しくお願い致します。

掲載日: 2008.11.16

A:

 胆道閉鎖症のお子様に対する自己骨髄細胞投与(ABMI)療法の適応についてのお尋ねです。山口大学でABMI療法を担当しておられる寺井先生から、以下のようなご回答を頂きました。
Q: この方法は小児(乳児)にも適応可能でしょうか?
A: 将来は可能になる可能性はありますが、現時点においては小児に対しては行っていません。
Q: 胆道閉鎖児への適応は可能でしょうか?
A: 基本となる、基礎的な動物実験が進むならば、可能になる可能性はありますが、実際の応用にはしばらく時間がかかると考えます。以前よりいくつか胆道閉鎖症について骨髄細胞投与の可能性の質問を頂いていますが、現時点では、なかなかいい動物モデルがないこと等により、進んでいない状況です。まずは成人での実施数を増やし、それを突破口にして進めたいと考えています。
 ということで、成人で良い成果を蓄積して評価が定まれば、適応が次第に拡大できるものと考えられます。肝臓が再生する時には胆管も再生して来ます。胆道閉鎖の術後には胆管炎などいろいろな合併症も起こり易く、場合によっては追加の手術が必要になる事もあると思いますが、現在働いている肝臓の機能をできるだけ良好に保つ治療を続けていただきたいと思います。肝移植が行えなかった十数年前まではここまでの治療しかありませんでしたが、現在では、万が一それだけでは不十分ということになれば、肝移植という治療手段がある訳です。
 なお、再手術や移植の適応については担当医と十分に相談し、納得した上で決めていただきたいと思います。お子様の病状が順調に経過することを祈念いたします。
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