専門分野: 脳・神経・脊髄
Q: LDについて
小学2年の子供がLDだと診断されました。家では、普通にしゃべれるのに学校にいくと全くしゃべれなくなります。目から入る情報に関して(物を組み立てたり)は、特別な能力をもっているのですが、耳から入る情報に関しての理解力が遅れていると、市の相談所で言われました。治すことは、無理なのでしょうか。 (事務局より:LDとは学習障害の略で、ご質問者に伺ったところ、中枢神経系の何らかの機能障害と推定されています。聞く、話す、読む、書く、計算する、又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示すさまざまな状態を指すとのことでした。家では、普通にしゃべれているのに学校では全くしゃべれなくなり、言葉のひねった問題(算数)にたいして、理解に苦しむそうです。)
掲載日: 2005.6.14
A:
非常に難しい問題だと思います。現在の脳の再生医学は、神経幹細胞といって、いろいろな形をした神経の細胞を作り出し、自分自身を増やすことができる細胞を、障害が起きている細胞がはっきりとわかっているパーキンソン病や、脳の血液循環が悪くなった脳虚血などの動物モデルに、細胞移植し、治療効果をみているという段階です。脳の再生には脳を構成する細胞を作り出すだけではなく、これらがうまく相互作用(ネットワーク)をしていくことが肝要です。 ご質問の学習障害に関しては、中枢神経の機能障害と推定されているとのことですが、障害を受けている細胞が何なのかがわかっていない、ネットワークに障害があるとしてもどのような障害なのかがわかっていない、という状況ですと、動物実験モデルを作成できません。動物実験モデルで効果が証明されなければ、ヒトに応用できませんので、臨床応用は難しいでしょう。再生医療というよりも、この疾患の詳細の解明が先かと思います。 いずれにしましても、再生医療のこれからの進歩待ちだと思われます。
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