NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.54


専門分野: 眼

Q: Bietti's crystalline dystrophy

 私の友人が、目の遺伝病「Bietti's crystalline dystrophy」をわずらっております。 現在、視野が少しずつ、減少しており、近い将来に完全に失明する可能性があります。原因遺伝子の特定は現在どの程度進んでいるのでしょうか。また、遺伝子が特定された場合でも、進行が止まり、機能を失った網膜、水晶体などは、回復できないと思います。目の再生医療は現在どの程度進んでいるのでしょうか。なぜ、目の再生医療の困難なのか、課題なども教えていただけると助かります。日本の研究機関の名前なども教えていただけると、助かります。

掲載日: 2006.8.30

A:

 今年になってBietti's crystalline dystrophyの原因と思われる遺伝子が同定されました。細胞の中で脂肪酸やステロイドの代謝に関わる蛋白(CYP4V2)の遺伝子で患者さんではこの遺伝子に変異があることがわかりました。一方、同じ遺伝子変異でも進行に差があることから、何らかの環境が影響している可能性もありますが、まだよくわかっていません。
ご指摘のとおり、原因がわかっても失ってしまった網膜の機能を回復させる方法はまだありません。研究は始まっていますが、網膜は脳と同じ中枢神経であるために再生させるのは困難です。現在は材料となる細胞の研究はすすんで来ていますが、細胞を再生させた後、視機能を回復できるぐらい十分に神経回路にうまく組み込まれるかどうかが課題です。また、課題が解決したとして当面の目標は光の形を見せるというもので、良好な視力を得ることは難しいと思われます。材料となる網膜の幹細胞の研究は、東京大学、慶応大学、京都大学、九州大学、熊本大学などで行われております。
また、別の研究者も以下のように回答されています。
局所での網膜再生に成功しても、後頭葉の視覚野まで正しく情報伝達の神経ネットワークを再構築できるか、という点です。この点が、角膜や水晶体の再生医療とは異なり、網膜再生を困難にしている所以と考えられます。
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