NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.78


専門分野: 糖尿

Q: 1型糖尿病

 私は28歳の2児の母です。27歳の妊娠5週目の検査で1型糖尿病であることが解りました。同じ病気で苦しむ私よりももっと小さな子供たちのためにも将来同じ病気を発病してしまう人のためにも私に何か出来ることは無いでしょうか?

掲載日: 2006.8.30

A:

 1型糖尿病は、自分のリンパ球が誤って自分自身の組織を破壊してしまう「自己免疫」によっておこる疾患で、わが国では糖尿病を発症する患者10万人あたり数人と、諸外国に比べかなり低い発症率であるといわれています。ウィルス感染後にリンパ球システムに内乱が起こることが原因と考えられていますが、まだ完全には解明されていません。また、遺伝することも、他人に感染することもありませんし、生活習慣病でもありません。1型糖尿病の患者の体内では、インスリンを作ることができず、インスリン注射が不可欠です。欧米では、10000人以上の1型糖尿病患者に対し、膵臓移植がおこなわれ、かなりの確率でインスリンからの離脱(インスリン注射を必要としない)に成功しています。また、膵臓という臓器すべてを移植するのではなく、インスリンを産生する細胞だけを移植する「膵島移植」も注目されています。これまでの「膵島移植」は膵臓移植に比べ、成績が芳しくなかったのですが、カナダのアルバータ大学で発表された「エドモントン・プロトコ−ル」の成績は膵臓移植と遜色がなかったからです。「膵島移植」は膵臓移植のようにおおがかりな手術は必要としませんので、患者自身への負担も軽減されます。詳しくは本HPの「再生医療について」をご覧ください。
ご質問の件ですが、一般の方からこのようなご意見をいただき、たいへんうれしく思います。全国に糖尿病患者の団体があります。そこに参加していただいて、いろいろな意見を交換され、お互いにQOLの高い生活を送ることができるような工夫をされてみてはいかがでしょうか。また、現在再生医療の研究対象として1型糖尿病は大きな分野であり、免疫抑制剤を必要としない(「エドモントン・プロトコ−ル」でも免疫抑制剤は必要です)移植方法としてのバイオ人工膵や、種々の幹細胞からインスリンを産生する細胞へ分化誘導させる研究などが盛んにおこなわれています。これらの研究を正しくご理解いただき、実際に臨床応用化された際には、ご支援いただければ幸いです。
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