専門分野: 骨・軟骨
Q: 大腿骨脛骨壊死
ご相談があり、メールさせて頂きました。私は、30代前半・女性で右大腿骨脛骨内側袈顆骨壊死という病気を患っています。経過は、平成16年11月に右膝内側半月板損傷に対し鏡視下内側部分切除術を行いました。術後2週間目頃より右膝痛が出現し、MRIにて右頚骨顆部の壊死を認め、その後、大腿骨にまで壊死が広がりました。『安静だけが治療』だと説明をうけ、免荷のみを行いましたが状況は悪化するばかりでした。いくつもの病院に相談に行きましたが断られ続け、やっと今の主治医に出会うことができました。、平成17年3月にドリリング・関節ネズミ除去術を行いました。術後1ヶ月間免荷し、その後徐々に荷重をしていきました。同時にスベニールを週1回関節内注入していました。術後3ヶ月目のMRIでは大腿骨・脛骨共に壊死の範囲は小さくなっていました。その後退院し自宅療養となり、現在までリハビリと2週に1回スベニールの関注・定期的(約半年毎)にMRI検査をしております。しかし、改善することはなく徐々に壊死の範囲が拡大しているのが現状です。主治医からは、稀な症例であること、時間がかかる病気であること、関節内注入・リハビリを続けること、今の治療の方向性は間違ってないこと等を繰り返し言われています。私は主治医を信頼し今の治療を続けていますが、現在して頂いている治療は治療と言っても対症療法でしかないように思います。もう2年半もこの病気を患い全く進歩がなく、仕事もできないでいる状態です。この2年半、家族や周囲の人々に心配や迷惑をかけ続け非常に辛い日々です。なんとか一日も早く治って仕事復帰したいと強く強く願っております。良い方向に変化させることが何か一つでもないかと思い、ご相談させて頂きました。どんな事でもかまいせんので、是非アドバイスをよろしくお願い致します。
掲載日: 2007.5.21
A:
ご相談のケースは脛骨が病変部であり、残念ながら今のところ自家骨移植や、再生医療としての自家培養軟骨の適応になるものではないと考えられます。現在の治療としては、大腿骨頭壊死の場合、骨頭を温存する場合に、壊死部への自家骨移植や、骨頭を回転させて壊死部の負荷を軽減する骨切り術が行われています。膝関節の軟骨部欠損に関節鏡下に採取した自家培養軟骨細胞を埋め込みがが行われています。自家骨移植、自家培養軟骨細胞の使用は欠損部分が少ない場合に適応になります。将来的には、研究の進歩により、欠損部分が多い場合にも、あるいは、脛骨の病変部に対しても再生医療が適応される時がくるものと思います。 貴下の場合には、病変部、壊死範囲なども問題になりますので、いろいろな可能性を含めて、主治医の先生と十分にご相談されることをお勧めいたします。
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