NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.326


専門分野: 骨・軟骨

Q: 右足首の距骨骨折ついて

 一昨年右足首の距骨骨折と診断され、骨の再生の経過を見ながら1年が経過しました。距骨は再生せずその後距骨壊死と診断され、壊死の範囲が大きいとのことで手術するなら、軟骨の移植は適応ではなく、関節固定術になるとのことです。現在の症状は足首を回すように動かすとごりごり音がし、また足首の装具をつければほぼ通常には歩行は出来るのですが、角度によっては痛みがあるのと、体重を極度にかけたり走ることができません。関節にヒアルロン酸の注射をすると痛みはかなり楽になります。手術すれば治るくらいに楽観していたんですが先日そのようにDrより言われかなりショックを受けています。手術で本当に治すことができないのか、また、手術しないでこのままでいた場合、壊死している箇所がどうかなるのか(潰れるとか壊死の範囲が広がるとか、距骨の変形とか)非常に不安です。インターネットでいろいろ検索していましたらこの軟骨再生医療のホームページにたどり着きました。是非、アドバイスをいただきたくよろしくお願い致します。

掲載日: 2008.2.29

A:

 距骨壊死の治療について、手根骨壊死に対する間葉系幹細胞を用いた再生医療(臨床治験が要約開始された段階で未だ治療実績は出ていない段階)にたずさわっている整形外科医に聞いたところ、概ね以下のような見解でした。
手根骨や大腿骨頭などの骨壊死に対する上記のような再生医療は、ようやく治験が開始された段階で、治療効果は未だ確認されていません。今行われている治験で効果が認められれば、足根骨(距骨などを含みます)など、他の骨壊死に対しても応用される可能性はありますが、現状では治療対象にはなっていません。
私自身の考えですが、このような治験は、最初は、他に有効な治療法が無い疾患の患者さんが対象となり、有効性が確認された段階で、他の治療法がある類似の疾患へ次第に適応が拡張され、従来の治療法より優れていれば一般的な治療法として受け入れられるという経過をたどるのが一般的です。現在行われようとしている治験で一定の傾向が確認されるには、最大限うまくいったとしても1年、通常は2から3年はかかると思われます。また、幹細胞の培養に要する手間や費用、培養細胞移植に伴うリスクなどのマイナス面に見合うだけの良好な治療効果が得られるかどうかは、必ずしも楽観的にはなれないと思います。
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