専門分野: 骨・軟骨
Q: 先天性脛骨欠損症
はじめまして。1歳7ヶ月の息子についての相談です。 右足が先天性脛骨欠損症で、治療は3歳以降と言われ、今は大学病院で定期的に成長を見ていただいています。 脛骨が部分的にあれば良い治療方法があるようなのですが、完全欠損の場合は膝離断を勧めることが多いと言われました。今現在レントゲンを見る限りでは完全欠損で、いちばん難しいケースと言われていますが、まだ諦めたくありません。再生医療で部分的にでも脛骨をつくることはできないものなのでしょうか?
掲載日: 2008.3.4
A:
部分的な骨欠損に対する骨の移植や人工骨は一般的に行われていますが、今のところ、新しく骨を作る治療技術は確立していません。例えば脛骨の場合ですと、膝と足首に関節があり、大腿部やふくらはぎの筋肉が付着し、体重を支える強度があってはじめて機能が期待できることになりますが、そのような複雑な構造を何もないところから新たに作ることは今のところできません。研究段階としては、関節様の構造を持つ指などの骨を組織工学的な再生医療手法を用いて作成する試みがありますが、臨床応用に結びつくには時間がかかるものと思われます。 このような先天的疾患は、大学病院以外に小児整形外科を専門とするこども病院などの整形外科でも治療しておられますが、そのような施設の一部では、脛骨が無くても切断を回避する治療も試みられているようです。担当の医師とよく相談され、場合によっては他の専門医の見解をセカンドオピニオンとして聞くなどされた上で、息子さんに最も良い治療法を選択して頂きたいと思います。
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