NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.338


専門分野: 脳・神経・脊髄

Q: 低酸素脳症に対する治療法について

 現在3歳半の息子ですが、1歳半の時にプールに溺れ、一時、心肺機能が停止しました。その後、なんとか脈が戻り、人工呼吸器をつけ、低温治療の結果、一命を取り留めることはできました。しかし、その後遺症で脳の大半が委縮した状態となり、今では自分で呼吸はできるのですが、気管切開をしており、経管栄養です。けいれん発作や筋緊張も頻繁にあって、薬でその症状を抑えるというか和らげているような状態です。眼は普通に開いたり、動かしたり、瞬きもしたりするのですが、物を追ったり目と目を合わせたりはしないので、見えているのかどうかはわかりません。音は聞こえているようですが、話しかけに対しての反応はありません。少しでも回復してくれることを期待して、ほぼ、毎日リハビリに通っているのですが、まだ、幼児なので何か積極的な治療法も並行して行えば、もっと回復できるのではないかと思っております。何か効果的な治療法があれば、教えていただけませんでしょうか?

掲載日: 2008.5.27

A:

 低酸素脳症で2年間治療を続けておられるお子さんについてのご相談ですが、少しでも効果的な治療を求めておられるお気持ち、お察し申し上げます。脳や脊髄の再生医療については、脳梗塞や脊髄損傷の急性期に骨髄細胞などを用いた再生医療が一部の施設で試みられています。一方、慢性期での治療はいろいろな方向から研究さていますが未だ有力な方法が無いのが現状と思われます。一方で、脳の機能的な発達などを研究する脳科学の分野が発展してきており、このような分野の成果を積極的に取り入れたリハビリテーションの試みもあるようです。
まとめますと、細胞などを用いた再生医療的では、ご相談のような病状に対して現在行える治療法は残念ながらありません。私どもの守備範囲からは外れてしまいますが、リハビリテーションの分野では新しい方法があるかも知れませんので、脳科学などを応用した新しいリハビリテーションに取り組んでおられる施設に一度相談されるのも一法かもしれません。
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