NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.364


専門分野: 糖尿

Q: 2型糖尿病のβ細胞再生薬剤の詳細について

 前の質問回答で2型糖尿病のβ細胞再生薬剤が登場したとありましたが、1型糖尿病への適用はないのでしょうか?また、あるとしたらいつ頃になるのでしょうか。処方できる病院など教えてもらえないでしょうか?よろしくお願い致します。

掲載日: 2008.12.13

A:

 念のため関連する部分を以下にコピーします。
「膵臓でのベータ細胞の再生が期待できる薬剤が2型糖尿病の治療薬として登場してきました。ベータ細胞に対する自己免疫など、1型糖尿病の原因が治療できるようになれば、このような薬剤によって自己のベータ細胞再生も期待できるようになるかもしれません。」
この薬剤とは、エキセナチド皮下注射薬(合成exendin-4製剤。欧米で発売中の製品名:Byetta バイエッタ)のことです。国内では日本イーライリリー社による第3相試験が現在進行中で、近々発売されるのではないかと思います。この薬剤は、動物実験ではベータ細胞の再生を促進するとの研究結果が出ていますが、ヒトでは膵臓のベータ細胞を直接定量的に評価するのは無理ですから、同様の作用があるかどうかはっきりした証拠は未だ出ていないと思います。当面の適応症は2型糖尿病ですが、研究としては1型糖尿病患者さんへの膵島移植に併用して、移植膵島の耐久性とインスリン分泌機能を向上させることも試みられています。ただ、前回も書きましたが、1型糖尿病では自己免疫などが原因で元々あったベータ細胞が破壊される病態がありますので、その原因が取り除かれない限り、この薬剤を単独で使用しても効果は期待できない(もしベータ細胞が再生してもすぐに破壊されてしまう)と思われます。なお、この薬剤は胃の運動を抑制する作用があり、食欲不振や吐き気などが起こります。元々、食欲旺盛で肥満傾向がある2型糖尿病では、この作用も糖尿病の治療にプラスに働くことがあると思いますが、そのような背景がない1型糖尿病に対しては完全な副作用になってしまいます。また、頻度は低いようですが膵炎の発生も報告されており、適応や使用法の決定には担当する医師の判断が必須です。
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