NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.418


専門分野: 筋肉・軟部組織

Q: 筋断裂後の再生と腱再生について

 10年以上前に交通事故により右膝前十字靱帯と外側側副靱帯を損傷し、再腱術を施行されました。またその際に左大腿部後面の筋も高度に断裂してしまいました。しかしその筋の縫合術などの外科的治療は施さず、左大腿部への具体的な治療はありませんでした。それ以降、左膝に不安定性が生じ、現在では左膝に疼痛を感じております。筋の断裂は肉眼で見てもその部位が盛り上がってしまう程、高度で筋力においても低下が認められます。筋の支持性が低下しているため膝関節にも緩みが生じ、関節へ過度なストレスが加わっているものと考えます。長期間経ったため外科的治療は現段階ではは無理です。装具療法や運動療法の中で何とか膝の疼痛を増悪させないように努めていますが、今後加齢も考えると将来的には15年未満で状態は悪化してくるものと考えています。
そのため再生医療分野において何かしらの打開策があるか教えてください。

掲載日: 2010.5.3

A:

 ご相談の内容について、膝の軟骨再生医療などを実施しておられる広島大学整形外科の越智先生にお尋ね致しましたところ、医局の先生から今の段階で可能な治療法として以下のようなご回答を頂きました。
(以下回答文)
さて当科で行われている再生医療ですが、現在臨床で行われているのは軟骨培養ですので、残念ながらまだ臨床として筋肉の再生は行っておりません。(動物実験までは行っておりますが。)
また、膝が不安定な状態のままでは軟骨の治療をしてもまた軟骨を傷めることになるので、まずは膝の不安定性に関して最優先に治療する必要があると思います。
また腱の再生医療も当科ではしていないので、この患者さんが求めているような筋や腱再生は当科では行っておりません。
この患者さんに対して当科で行える治療としては、MRIで靱帯・軟骨の評価を行い、手術適応であれば関節鏡を行い軟骨や半月板、靱帯の評価を行い、靱帯が傷んでいるようなら、靱帯再々建を最優先に行い、この際、軟骨損傷があれば同時・あるいは二期的に軟骨損傷に対する治療(1マイクロフラクチャー2骨軟骨柱移植3培養軟骨移植のいずれか)を行うといった内容になると思われます。
(以上回答文)
骨格筋の再生は未だ容易ではないようですが、靭帯の再建と軟骨の手当ができる可能性はあるかも知れませんので、膝の疼痛にも効果が期待できるかも知れません。担当医師とよく相談され、十分な検査・評価を受けられた後で、治療目的に合致した治療法・治療時期をお決めになるようお勧め致します。
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