専門分野: 心臓・血管
Q: 心室緻密化障害による拡張型心筋症
0歳5ヶ月の乳児です。長崎の地元の病院から九州大学病院への紹介を受け、心室緻密化障害からによる拡張型心筋症と診断を受けています。 今のところ、心臓内での血液の逆流などはあまり見られておらず。左心室の拡張のみが目立っているような状況です。体が小さい故、バチスタ手術などなりますが適応できない状態ですし、体がある程度できるまでは、まだ4.5年は先になってくると言われています。 そこで質問なのですが、心室緻密化障害からの拡張型心筋症であっても再生医療を用いた場合、緻密化された筋肉は再生できますでしょうか? 早い段階から再生医療での治療を受けたいのですが、九州大学病院での通院をしていた方が早期に再生医療を受ける事が出来るのでしょうか?それとも、内服薬での治療がメインの為、地元の病院を通院した方がよいのでしょうか? また、再生医療で回復した場合でも、薬の投与、運動、水分の制限は必要になってくる物でしょうか? 移植医療に比べ、術後の制限が比較的、少ないのであれば 再生医療を考えております。 過去にも再生医療についてのログが残っておりますが、近年の再生医療の進歩が早い為、新しい情報があればと思います。すいませんがアドバイスを宜しくお願い致します。
掲載日: 2010.9.8
A:
心臓の再生医療では、心筋や骨格筋を殖やして筋肉の再生をねらうものや、骨髄や血液中の細胞を用いて血管新生をねらうものが臨床治験として行われています。このような治験の情報は、例えば、国立医薬品食品衛生研究所の「日本で過去に実施された又は現在実施されているヒト由来の細胞、組織または細胞・組織加工医薬品等を用いた細胞治療・再生医療の例(治験・臨床研究・先進医療等)」 http://www.nihs.go.jp/cgtp/cgtp/sec2/ct_prtcl/prtcl-j.htmlというようなサイトで一般に公開されていますので、必ずしも大学病院に通院しているのが近道ということはありません。ただし、対象となる患者さんの条件はかなり制限されていますので、それぞれの治験ごとに確認していただく必要があります。こちらで確認した範囲では、ご相談のような場合に適応できる治験は、誠に残念ながら、今のところ行われていないのではないかと思います。 再生医療と移植医療の関係ですが、心臓のような臓器は今のところ人工的に作る事ができませんので、再生医療の治療目標は衰えた臓器の機能を少しでも向上させることになります。そういう意味では、どうしても移植医療でしか治療できないほど悪い状態になるのを少しでも遅らせることが現段階での再生医療の役割であって、移植医療の代わりになるほどの治療効果を期待するのは時期尚早と言わざるをえません。大学病院か地元の病院かは必要に応じて使い分けていただけば良いと思いますが、いずれにしても、信頼できる医師とよく相談して、現在行える最も良い治療を続けて頂きたいと思います。
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