専門分野: 耳・鼻・咽頭
Q: 内耳再生について
はじめまして。 4歳のムンプス難聴の男の子の母です。 先日、2011年3月8日付新聞記事に京大の伊藤教授らの「サルへの移植、難聴改善」というものが掲載されておりました。この内容の治療は、将来的にはムンプス難聴に対しても有効の治療法なのでしょうか?それとも、突発性などで、聴力の残っている方への治療法なのでしょうか? 治るすべは何もなく、ただただ内耳再生だけが生きる支えです。息子へ必ず治ると自信を持って言ってあげたいのです。ムンプス難聴へも救いの手を差し伸べていただきたい。そう思って毎日を送っております。
掲載日: 2011.4.3
A:
難聴の息子さんの治療を切望されるお母さんのお気持ちに頭が下がります。実際に研究に従事しておられる先生に伺ったところ、以下のような回答をいただきました(当方で若干改変を加えています)。 「伊藤教授の記事は、あくまで動物実験レベルの話であり、今後、ヒトiPS細胞での安全性などが確認され、さらに有効性が確認された上で、臨床試験という段階に入ります。臨床試験は、一般の治療とは異なり、実験的な性格を有するものですから、希望される患者さんすべてに行いうるものとはなりません。厳密な管理の下、限られた条件下で行われます。このような臨床試験で安全性や有効性が確認されてから、高度医療や先進医療といったものとして、臨床に提供されることになります。」 ということで、京都大学では、治療を待ち望んでおられる患者さんやご家族のお気持ちをよく理解している多くの先生方が難聴の再生医療に熱心に取り組んでおられます。また、報道のように、未だ動物実験のレベルではありますが、着実に成果もあがっています。このような研究が臨床応用に繋がることに御期待いただき、暖かい目で見守っていただきたいと思います。
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