専門分野:脳・神経・脊髄
Q: 2歳の息子の病気
私は北海道に住む一児の父親です。
先月4月に息子がその日朝歩いていたのが正午には突然歩けなくなり病院に行きあらゆる検査を行ったところ急性散在性脳脊髄炎と診断されました。
次の日からステロイドパルス療法、その後2週間にわたり血漿交換、そしてまたステロイドパルス、しかし息子の状態はまったく変化なく未だ胸から下の麻痺、排泄、排尿障害のままです。主治医には神経事態にダメージがあり、回復する事は難しいかもしれないと告げられてしまいました。
脊髄の炎症事態は落ちついてきましたが、神経がキズついたままでこのまま息子が麻痺とは受け入れる事はできません。脳や上肢は問題なく歩けない事の不満で暴れたりしますが自分の今の状況や将来の事を本人が理解できるわけもなく、私達夫婦はこれからどうすばよいかわかりません。
ただ万が一回復が難しかったとしても、何か方法があるのではないかと希望は捨てたくなく、いつかまた元気に歩いてくれるのを信じています。
この先このような病気で麻痺を患う疾患の将来はありますか?
掲載日: 2014.6.14
A:
私は北海道に住む一児の父親です。
急性散在性脳脊髄炎は炎症性の脱髄疾患です。脳の神経細胞からは軸索と呼ばれる神経線維が一本出ており、この周りには通常は髄鞘という筒状の構造が形成されており、神経線維を通る情報(電気的な信号)が絶縁され、伝導速度が早くなっています。脱髄疾患では、この髄鞘が崩壊して神経細胞の情報伝達が障害されて発症します。ただし、髄鞘は、それが崩壊した原因が除去されれば再生して元のようになることが知られています。急性散在性脳脊髄炎の場合、髄鞘がどんどん崩壊する一番危険な状態を乗り切れば、あとは髄鞘が再生して症状の回復が期待できると思いますので、過度に悲観的に考える必要は無いと思います。ただ、麻痺のために関節の拘縮や筋肉の萎縮など他に具合の悪いことが起こるといけませんので、リハビリは行った方がよいかと思われます。信頼できる医師とよくご相談の上、最善の治療を受けて頂けるよう希望致します。
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