専門分野:糖尿
1型糖尿病の完治
3歳の娘が1型糖尿病です。
毎日、完治しない現実に絶望しながら何とか日々を過ごしています。
近い将来、1型が再生医療によって完治する日は本当にくるのでしょうか?
また、外国で治療法がみつかった場合、日本でもその治療は受けられるのでしょうか?
一日でも早く助けて欲しい気持ちでいっぱいです・・・。
掲載日: 2015.8.07
A:
1型糖尿病は体内でインスリンが作れなくなる病気で、今のところ完治する治療法は見つかっていません。しかし、インスリンを適切に補充して、血糖が激しく上下しないようにしておくことで、普通の人と同じように生活することができます。今は3才の娘さんですからご両親や他の家族の方によるお世話がとても大変だと思いますが、小学校の高学年になる頃には自分でインスリンの注射ができるようになっているのではないでしょうか。小児の糖尿病を多く治療している医療機関では、勉強会や合宿(サマーキャンプ)などを行って患者さんやそのご家族同士に交流していただき、1型糖尿病への理解を深めているところが全国的にあります。
糖尿病の再生医療は世界中で研究されており、ES細胞やiPS細胞をはじめ各種の細胞からインスリンを分泌するβ細胞を分化誘導する方法や、そのような細胞を安全に体内に移植する方法などが発達してきており、一部は臨床応用の一歩手前まで来ています。また、ブタの膵ランゲルハンス島を使った糖尿病治療は海外で臨床研究(ヒトの患者さんを治療する研究)が行われています。このような治療を我が国でも実現するためには、患者さんやそのご家族、さらには一般の方々のご理解とご支援が不可欠です。より良い治療の実現を目指した動きとして、患者さんやご家族が運営されている認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク(http://japan-iddm.net/)では、「治らない」から「治る」へ、を合い言葉として、情報を発信し、多くの研究に対して研究支援を行っていらっしゃいます。ちなみに、IDDMとはインスリン補充が必要な糖尿病という意味の英語の頭文字で、1型糖尿病はこれに含まれます。
「完治しないことに絶望」されるお気持ちには大変重いものがあると思いますが、小児の糖尿病を上手に治療される医師にかかっていただき、同じような状況の方々とも連携して、適切なインスリンの補充を続けて頂くことが、娘さんの明るい未来に繋がって行くものと存じます。
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