NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.562


専門分野:眼

緑内障の再生医療について

緑内障で左目の視野が末期の者です。
国立成育医療研究センターで世界で初めてiPS細胞から視神経細胞の製作に成功したみたいですが実用化までどのくらいかかるのでしょうか?
またiPS細胞で緑内障に対して今後どのような治療の研究が進んでるのでしょうか?
素人の質問で申し訳ありません。
宜しくお願いします。

掲載日: 2015.4.20

A:

iPS細胞から体の組織を作っている細胞を分化させる研究が成功すると、少なくとも日達の方向の応用が可能です。
 一つ目は、分化した細胞を病気の患者さんに移植して、失われた機能を再び作り出すことで病気を治す、本来の再生医療への応用です。ただし、これを行うには分化した細胞の安全性を十分確認する必要があると同時に、その細胞を良い形で働かせるための移植技術が不可欠です。
 もう一つの応用方法は、分化した細胞を用いて試験管の中で病気の状態を再現し、それを防ぐ物質を探すことです。例えば、筋萎縮性側索硬化症という病気では運動神経の細胞が死んでしまいますが、従来の方法では、お亡くなりになった患者さんから病気の部位を取り出して観察する事はできましたが、生きた細胞が変性する状況を試験管内で再現することは到底できませんでした。しかし、この病気の患者さんから作ったiPS細胞をこの病気で悪くなる神経細胞に分化させると、試験管内で生きた細胞が変性する瞬間を確認でき、さらに、これを防ぐ物質を探索することで病気の進行を抑える薬剤の開発に結びつける事ができます。
 そこで、今回iPS細胞から作られた視神経の応用についてですが、当面は、視神経炎や緑内障などの病態を解明し、これを防止する薬の開発に使われるものと思われます。一方、網膜への移植ということになると、視細胞でキャッチした光のシグナルが脳まで伝わるように正しく配線する手術の難度は相当高そうです。
 iPS細胞から分化した視神経を使った研究で視神経を丈夫にしてくれる薬が見つかれば、多くの人の病気の進行が防止できます。当面、直接治療に使うことは難しいとしても、これはこれで大きな研究成果と言えるのではないかと思います。
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