専門分野:皮膚・毛髪
爪の再生医療
5年程前に薬疹(スティーブンスジョンソン症候群)で、手・足全部の爪が剥がれ落ちました。そこから、きちんと爪がはえてきません。爪のようなものがはえてますが、ガタガタでそろってないとこもあります。生活するうえでそこまで支障はないのですが、繊維などがひっかかって痛い思いをすることもよくあります。2015年の質問で爪の再生医療を聞いていたのですが、医療って日々進歩しているようなので、現在爪の再生医療でいいものがないかお伺いしたいです。
掲載日: 2017.09.11
A:
スティーブンスジョンソン症候群では、全身の表皮や粘膜に炎症が起きます。その後で爪がきちんと生えてこないということは、爪を作る元の細胞(爪母細胞)が、数が不十分になったとか環境が変化したためなど機序はいろいろあるとは思いますが、とにかく十分機能できなくなっているものと推定されます。 数が不十分になっているのであれば、原理的には、あなた自身のiPS細胞を作って、これを爪母細胞に分化誘導し、爪の根元(爪母)に移植してあげれば、もう少しきちんとした爪が生えてくると思います。ただ、これを十分に安全性を確保した状態で行うとすると、最先端の研究施設で何億円かかける必要があると思われます。
爪がきちんと伸びる環境でなくなっている場合は、爪が伸びてきて皮膚に付着している部分(爪床)も含めて、もう少し難しい操作(非常に微細な手術)が必要となるかもしれません。 いずれにしても、「治す方法が無い」とは言い切れませんが、現実的には、残念ながら実現は難しいと言わざるを得ません。少しでも爪の状態が良くなるような手入れの仕方を検討して頂くのが現実的な対応ではないかと推察致します。
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